第35回 北海道ミーティング2017 参加記02

参加記01の続きとなります。

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通路に5台のバイクが並べられ、いよいよ自分の出番だ。

司会に促されてお立ち台(という名のプラスチックケース)へと上がり、簡単な自己紹介と愛車の説明と解説をして、いざエンジンを始動。
しかしこういう肝心な時に限って機械は必ずグズるもの。燃料コックとキーを回してティクラーを押してキックをするも、なぜかエンジンが一向にかからない。あちゃー、通路に並べる前に軽く暖機運転を済ませておけばよかった……と思ってもすでに手遅れ。後ろには待っている人もいるため、しょうがないのでセルでかけることに。セルで起こしたのは久しぶりだ。
始動後はギャラリーから「へぇー、こういうエンジン音なのか」「想像していたよりも音が小さいねぇ」「回転は結構滑らかだな」などと聞こえたが、本人は衆人環視の中で柄にもなく緊張してしまい、それどころではなかった。


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キャンプ場内通路の走行展示はアッという間だった。時間にして約10秒、距離は70~80m前後だろうか。通路の脇ではS氏も笑いながら手を振ってくれていた。

走行後は横の芝生でスタッフの手によるバイクと一緒に記念撮影。
なお芝生上での走行は禁止(芝が痛むから)のため、撮影の定位置までは人力で押すことになるのだが、地面が前夜からの雨で湿っているため車重が350kgを軽く超えるヘビー級の長江はタイヤが沈んで辛いのなんの。スタッフも一緒になって押してはくれたものの、腕と肩の筋肉が攣るかと思った。
後日北海道ミーティングの公式HPでは記念撮影の写真が多数アップされますが、恐らくこの時の自分の顔は軽く引きつっていると思われます。

とりあえず念願であったコンクールデレガンスの(長江の)走行展示はひとまず終了した。
以下はデレガンスの続きです。


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ヤマハ TZ250
さすが2ストエンジンと言うべきか。マフラーから吐き出される白煙の量が凄い。


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BMW K100RS & NKロードセイラーサイドカー
今回のコンクールデレガンスには、自分以外にもう1台のサイドカーが参加しました。オーナーはなんと滋賀県からこのイベントのためにわざわざ来られたという。
K100は製造から30年経過しているとは思えないくらいに静かなエンジン音でした。


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ここからは賞の対象ではない参考出展のバイクです。全部で5台が参加しました。
カワサキ KZ1000P アメリカンポリス仕様
パトライトとサイレンを鳴らして会場では大ウケでした。


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サビ具合、ヤレ具合ではNew Hudsonに負けずとも劣らない。
一見すると本当に動くのか心配になる外見ですが、きちんとエンジンがかかって快調に走りました。


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走行展示後、会場入口にある受付用テントのそばに不思議なバイクを発見した。小柄な車体に小さな水平対向2気筒エンジンを搭載している。
DSK? いや、あれは排気量が500ccもあるんだぞ。
ライラック? それも違う。ヘッドとクランクケースの形が異なる。
雰囲気としてはミュンヘナー時代のBMWにそっくりだが、タンク両側に見慣れた丸い青白マークが無いし……? 


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周囲の人と一緒に「これはどこのバイクだろう?」「うーん、わからないなー」などとブツブツ言いながら頭を捻っていると、そばを通りかかった人が教えてくれた。ドイツ製のホフマンというバイクだという。


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後ろへ回ってみるとテールランプ上部に小さなプレートが貼られており、たしかにHoffmannと打刻がされていた。後で調べてみると正式名称はHoffmann Gouverneur MP250という1950年代のバイクらしい。
軽二輪ナンバーが付いているということは、この会場まで自走してきたのか。


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特徴的なエンジン。
水平対向エンジンを搭載するバイクは当時だとさして珍しくもないが、このバイクの場合はクランクケース上部のカバー内にキャブレターを収納して、シリンダー後部をすっきりさせている点がとても凝っている。恐らく吸気バルブへ繋がる穴をシリンダーと一体化させて上部にあるキャブレターと直結させているのだろう。同じ水平対向エンジン搭載のライラックSW350もたしかこんな感じの構造だったように思う。

いやー、それにしても国内に数台も存在していないであろう非常に珍しいバイクを拝ませてもらった。オーナーさんに合うことは叶わなかったが、どうかこれからも末永く大切にしてほしい。

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……で、全車が走行展示を終えて投票タイムとなった頃に、また小雨がぱらついてきた。
降ったり止んだり落ち着かない天気だ。


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走行展示ではあまり調子が良くなかったミニフリーMF1。
よく見ると実はペダル前方と後部荷台左横にそれぞれエンジンを搭載している。まさか当時ツインエンジンで販売されていたとも思えないので、後ろのエンジンは後付だろう。
リアフェンダーに付いているものはナンバープレートではなく、当時の役場が発行した原付用登録鑑札。


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サドルの後端には鳳凰と書かれたタグが貼られていた。恐らく中国製のクラシカルな実用自転車 鳳凰号のパーツを流用しているのだろう。
ちなみに鳳凰号は今でも現地中国で販売されています。


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ヤマグチ スーパーツインST125
バイクにしては全体的に角ばっている独特なデザイン。


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昔のブラウン管テレビを彷彿とせる形状のヘッドライト。時代は違うが、何となく旧東ドイツ製バイクMz ES250に似ている。


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ホンダドリームCB750four K0
自分は1990~2000年代に作られたCB750(の教習車仕様)しか乗ったことがないのですが、30年以上昔のクラシカルなCB750もいいものですね。


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ホンダCM125T
明るいライトブルーの塗装がとても印象的。派手すぎず地味すぎず、それでいて目を引く色……良いセンスですね。


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現存数が少ないとされるメグロZ3。
外見はサビや汚れでとてもみすぼらしいが、エンジンは固着もなくオイルもきちんと回るので、あまり手を入れずに簡単な整備で始動したという。オリジナルのマフラーは固定金具を残して全部欠落していたので、新品のアリエル用マフラーを個人輸入してサンポールで表面を故意にサビさせ、車体と似たような色具合で経年劣化風のウェザリングを施したとのこと。


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上の画像で左にいる人がこのメグロZ3の手直しを担当した、古い国産二輪車専門私設博物館「なかふらの単車館」の館長。前夜祭ではS氏と飲んでいる時に一緒に話をさせていただきました。


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閉会間際になってようやく太陽が顔を出してきた。


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いよいよコンクールデレガンスの結果発表。
各賞の受賞者と車種が順番に発表され、ステージ上で盾や記念品を手にした受賞者がコメントをするたびに拍手が広がる。
それらの人たちを一傍観者として遠巻きに眺めていると、突然自分の名前をアナウンスされた。なんと我が愛車の長江サイドカーが受賞していたのだ。
頂いたのは【なかふらの単車館賞】でした。強烈なインパクトのあるバイクが多数参加していた中、長江サイドカーへ清き一票を投じてくれた皆さん、どうもありがとうございました。

せっかくなので、そのうち機会があれば実際になかふらの単車館へ訪問してみるか。


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そして栄えあるコンクールデレガンス・グランプリを獲得したのは、大方の予想通り1932年式New Hudson 500でした。
こんなスゴいバイク(しかも実働)を見せられたら、そりゃ他のバイクはどう逆立ちしても霞みますよ。しかしよくもまぁ、このような貴重なバイクがスクラップとして潰されず無事に残っていたものだ。グランプリの受賞も納得です。

エンジン始動時の様子



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コンクールデレガンスへの参加記念品として配られたピカール


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受賞式後は恒例の参加者全員の集合写真が撮影され……


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撮影終了とほぼ同時に、役場の正午を知らせるサイレンが流れた。これにて第35回北海道ミーティングはお開き。そしてキャンプ場内にはエンジン音が鳴り響いた。


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一斉に退場するライダー達。


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一台、また一台と排気音を残して太陽の里から走り去っていくバイク。ある人は自宅へ、またある人はそのまま別の場所へツーリングに……。
自分も一抹の寂しさを感じながらも長江のエンジンを始動し、札幌へ向けて出発した。12:24 PM


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帰り道は富良野から芦別三段滝~三笠幾春別~岩見沢と、昨日とは逆の順番で抜けていく。ただし今は日曜午後なので、観光等での交通量がやや多そうなのが気にかかるが、まぁ無理に飛ばさずノンビリと行くことにしよう。という訳でまずは三段滝を目指す。
走行中は後ろに車が数台並ぶと左に寄って先に行かせて、なるべく渋滞を作らないように努めた。


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芦別の三段滝に到着。13:13 PM
長江を停めるといつの間にやら右サイドミラーにトンボが止まっていた。昼間の気温はまだまだ高いけれど、もう秋はすぐそこなんだな…さすがに昨日のカミキリムシが再び現れることはなかったが。

15分ほど休憩をした後、三笠市幾春別を目指して出発。
往路とは違って復路では下り坂を多めに感じるが、その分カーブの方向も逆になるのでかなり気を使った。半径のキツい下りカーブを曲がるたびに、4日前に起きたサイドカー事故が頭をよぎる。
変に意識をしないようにしているのだが、やっぱり意識しちゃうよなぁ……。しかし、どうにか山道を突破して桂沢湖畔を通過時に、久しぶりに右カーブで側車が一瞬浮いてしまった。おぉっと危ない危ない。

そして三笠市へと入り、適当な場所で軽く休憩をしようか少し迷ったが、距離的にも札幌はもう目前だったので、そのままノンストップで走りきることに決めた。
ところが、この決断はすぐに裏目となる。国道12号線へ出て上幌向駅を少し過ぎた頃、どこからか「ミシミシ」「ギィギィ」「ガタガタ」と異音が発生しだしたのだ。あーここに来てどこか逝ったか? と見回すと側車のフェンダーが外れて回転しているタイヤに接触していたのだ。
「またこの部分か……」
昨年春に釣りへ行った時にも、途中で側車フェンダーの固定ボルト・ナットが緩んで外れたよなぁ。自分の長江だけかもしれないが、ここを固定しているボルトとナットはよく外れる。ナイロンナットで締めた方が良いのだろうか。


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そのままで走る訳にはいかないので、道路の端に停めて手持ちの適当なボルトとナットで応急処置。ノントラブルで帰宅できると思っていたが好事魔多しだなコレは。
14:25 PM


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応急処置を施したものの、もうちょっと色々と点検した方が良いかもしれない、と考えた結果、豊幌のローソンで休憩をすることに。14:34 PM
駐車場で一息つけながらハンドルやフェンダーのガタツキを確認していると、ローソンへ買い物に来た近所の住んでいると思われるオジサンに「いやーこれは珍しい。すごいバイクに乗っているんだねぇ」と声をかけられ、見物のお礼としてトマトジュースを頂いてしまった。ありがたやありがたや。

軽くボルトの増し締めなどをしてから出発。
もう緩む部分は無いだろう、と安心しながら王子製紙江別工場前を通過し、国道275号線で信号待ちをしている最中、突如としてクラッチが切れなくなって発進不能に……ここでまたトラブルかぁー!!(実はクラッチレバーとケーブルの張りが弛んだだけ。だがこんな場所で張り付いたかとかなり焦った)。後続車の皆さん、1分ほどではありましたが大変ご迷惑をおかけしました。
だけどネタには困らないな我が愛車は……まぁ、でもこんな駄々をこねる長江サイドカーでも大好きですが。

15:44 PM 無事に札幌の自宅へ到着。
これにて北海道ミーティングの参加記は終了です。とりあえずイベントの中身は面白かっただけに雨という悪天候だけが恨めしかった…。ホントに今年の北海道の週末は天気に恵まれないなぁ。

今回の走行距離:236km


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今回運良く受賞した、なかふらの単車館賞の表彰盾。
来年からは同じ日程の小樽クラシックカー博覧会と富良野北海道ミーティングは、1年おきで交互に参加をしようか思案しています。

おしまい。