日高の山奥で事故った話

えー、表題のとおりです。
長江サイドカーを手に入れて約10年、とうとう自分は「自動車事故の当事者」となってしまいました……といっても長江の損害はごく軽微だし、自分の身体もケガ一つしておりませんが。

…で、事の顛末は自戒を込めておいおい書いていくとして、なぜ日高くんだりにまで行ったのかというと、8月に開催された小樽クラシックカー博覧会の会場で、日高のイベントスタッフの方から直々に「このサイドカーで参加してみませんか?」と声をかけられたからだ(室蘭のイベントへ参加したのと同じきっかけですね)
その日高のイベントとは正式名称が『北海道オールドカーフェスタ in 樹海ロード日高』といい、年に2回(5月と10月)日高町内にある道の駅で開催されます。

「ほぅ、日高か。個人的にはあまり縁のない場所だけれど、季節的に道中は秋の紅葉で綺麗だろうし、ふらりと行ってみるか」と軽い気持ちで参加を決めた。
それが、まさかあんな事態になるだなんて……。

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9月末に開かれた室蘭のイベントでもそうだったのだが、ここ最近は平日はともかく週末となると高確率で天気が悪くなる。今回もご多分に漏れず、な状況だ。
全道的に雨マークの予報を見て色々と思案したが、今年最後の(北海道内で開催される)旧車イベントなだけに、悔いを残さないためにも日高へ行くことに決定した。


10月11日(日)
開催当日の夜中の3時に起床。まずは今日一日の天気の動きはどう推移するかをチェックした。気象庁の天気図やGPV、YAHOO雨雲レーダーなどを神に祈りながら確認するのだが……。

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どの予報を見ても昼前から道南~道央、もちろん日高町も含むかなりの広範囲が雨になるという。
やはり現実は非情だったか。
台風のバカヤロー!

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「あー、また雨降りかぁ。雨さえ無ければなぁ……」と憂鬱になりながらも夜明け前の暗闇の中、出発をした。AM 4:50


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札幌市内を走行中はそうでもなかったのだが、北広島を抜けて長沼に入ると急激に気温が下がるのを感じた。
防寒装備はしっかりと整えていたのだが、それでも真冬並みに冷える。気温は10度前後だろうか(走行中は風が常にあたるので体感温度はもっと下がる)。空冷エンジンにとって寒さは大歓迎だが、運転をする人間にしてみるとこれは拷問に近い。
とりあえずガラガラな道の駅マオイの丘で長江を停めてトイレタイムとした。AM  5:55

マオイの丘の次は夕張紅葉山を目指す。
既に収穫が終わった早朝の田園地帯を、長江サイドカーは時速50~60kmで走り抜けていく。そして由仁町川端付近では、後ろからハイスピードで迫ってきた1台のバイクが矢のように追い越していった。


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AM 6:40
夕張紅葉山の三叉路にあるセイコーマートに到着。自宅を出て2時間近く経過して体が冷えたので、何か温かい飲み物でも飲もうかと考えながら横を見ると、先程追い越していったバイクが停車していた。ナンバーを見ると川崎ナンバーだ。リアには結構な量の荷物も積んでいるし、内地から来たのだろうか?

長江の横でちびりちびりとホットドリンクを飲んでいると、そのバイクの持ち主に声をかけられた。話を聞いてみるとやはり本州から来たライダーで、早朝にフェリーで小樽に到着して今は帯広・十勝方面を目指しているのだという。そしてこの寒さにずいぶんと驚いている様子だった。しかもこの時期にテント泊の旅を予定しているという…さすがにこれからの荒天と気温を考えるとテントでは大変なことになるので、民宿やライダーハウスの利用を強く勧めた。

気休め程度に身体を温めたらすぐに出発をした。
アップダウンの激しい楓・登川地区を過ぎると、そこから先はずっと登り坂の峠道となる。
傾斜がきつい場所ではギアを3速に落とし、喘ぐエンジンを宥めながらえっちらおっちらと長江は登っていく。
周囲の木々に目をやると、紅葉の進み具合としては20%ほどといった感じか。全体的に薄っすらと黄色くなりかけていて一部にポツポツと赤い色が混ざっている。あと一週間もすれば山全体が燃えるように鮮やかな景色となるだろう。


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登りと下りのきつい峠道と穂別ダムを超えて福山の駐車エリアに到着した。AM 7:38
ここで一旦トイレタイムとし、回しまくって熱くなったオイルとエンジンを労るために15分ほど休ませる。
最終目的地である日高の道の駅は残り25kmほどだ。それにここから先の登り坂は4kmにわたって低速車用の登坂車線があるので、それほど後続車に対して神経質にならなくても大丈夫だろうと考えた。
焦らず騒がず、のんびりゆっくりと確実に進む作戦である。

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AM 8:05に福山駐車場を出発。そして「その時」がやってきた……。

福山駐車場を出てからすぐに始まる登り坂と大きなS字カーブを突破すると、夕張~日高間の最終関門とでもいうべき長さ約4kmのトンネル(一部は橋とスノーシェッドとなって外に出ているが)が口を開けて待っていた。

エンジンを軽く吹かしながらトンネルへと突入し、外の空気とはまた違うトンネル独特の湿り気を帯びた冷気に包まれながら走る。そろそろ中間部の橋が見えてくるぞ、と思っていたその矢先、突然エンジンの動きが弱々しくなった。
   ブロロロロロロロ……ブロロッ…ブルルルル、ブルッ、ブルルルンッ…
え、あっ? ちょっと待てよ、ここでエンストするのはとてもまずいだろ。もう数kmでいいから持ちこたえてくれ! 頼むっ!
スロットルを強く握りしめ心の中で祈る。
   ブロロロッ…ブッブルルッ、ブルルルルル……ブルップススッ、プスン……
しげーの必死の願いも虚しく、我が愛車は淡いオレンジ色のナトリウムランプに照らされながら息絶えた。


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「…参ったなぁ……」
この長江サイドカーに載って早10年、ツーリング中のトラブルは過去に何度か経験をしているが、トンネル内で止まってしまったのは初めてだ。しかもよりによってこんな山奥とは。だが愚痴っていても仕方がない。長江から降りて後続車や対向車の邪魔にならないよう、道路の端へ車体を寄せた。
とりあえずエンジンが止まってしまった理由を調べようとしたが、その原因はすぐに判明した。キーを回してもヘッドライトは全くつかず、側車灯が弱々しくボヤッとしか点灯しない……間違いなくこれは「バッテリー上がり」だ。

あーーーやっちまった…ガソリンやオイル、ポイント、タイヤ空気圧などの点検はまめにしていたけれど、まさかバッテリーが弱っていたとは一生の不覚(長江の電装はバッテリーがないと点火できない)。搭載している軽自動車用バッテリーを購入したのは2011年夏頃なので今年で4シーズン目。まだ持つだろうと考えてはいたが、あろうことかここで爆弾が炸裂してしまうとは……認識が甘かったか。バッテリーがかなり弱っている以上、キックで100回蹴ってもエンジンはかからないしセルで始動なぞ論外だ。

全長が4km近い長大トンネルのど真ん中で暗澹となったが、後悔してイジけるにしても現在地は暗くて危険過ぎる。暗いトンネル内でも遠くから目立つよう工事用反射ベストを着用し、進行方向の先100mに明るく見える出口をめざして(位置的にこれは幸運だった)ハンドルを握り車体を押すのだが、自宅車庫での出し入れと違ってやたらと重く感じる……というか実際とても重い。どうやら日高方面に向かって緩い登り坂になっているみたいだ。7~8mの距離を押すだけで息が切れて体が汗ばむ。車体に燃料、油脂、車載工具類を含めれば400kgに手が届くサイドカーを一人で押すとなると重労働以外の何者でもない。

ヒーヒー言いながら出口をめざして歩道の上から長江を押す、休む、後続車をやり過ごす、と10分以上繰り返した。
軽自動車、セダン、RV車、ワゴン、大型トレーラー、自衛隊の輸送トラック、そしてこれからイベントに参加するであろう多くの旧車……色々な車が徐行しつつ横から長江を追い越していった。走行中の皆さん、日曜の朝からご迷惑をおかけして本当にすみません。

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エンスト位置から30mほど押した頃だろうか、後ろから一台の車がやってきた。
その車とはまだ150m以上の距離はあったが用心してやり過ごすため、押していたハンドルから手を離してギアを入れ(長江が勝手に後ろへ下がらないよう)、体を歩道の壁側へ寄せた。

ん? あの車、なんだか変だぞ?
長江まで100mを切ったのに速度を全然落としていない。
50mを切ったのにそのまままっすぐ走っている。
30mを切ったのに車線変更をする素振りすら見せない。
げっ…これはヤバイッ! そう思った刹那……

ガンッ!!!
バキイィィーーーン!!
グシャアァーーーーーーン!!!!!

トンネル内に耳をつんざくような衝撃音が響いた。
あ~あ……やってくれたなぁ、おい。
ぶつかった車は長江の30mほど先で急停車した。
自分はすぐにぶつけられた長江の右側面の状態を確認したが、パッと見ではどこにも損傷がなかった。だが、そばの路面を見ると細長い黒い物体が数個散乱している。近づいてみるとそれは接触の衝撃で吹き飛ばされたフロントバンパーだった。一番大きいので長さ80cm、幅25cmくらいだろうか? 相手車のバンパーがこれだけ派手に壊れているということは、恐らく車体前方~左ドアにかけてデカい引っかき傷もできていることだろう。後続車や対向車の障害物とならないようバンパーの破片を拾いながらその車へと近づいた。
ミニバン? 1BOX? と思われる車から30代中~後半の夫婦が降りてきた。二人とも顔から若干血の気が引いているのがわかった。

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これが…

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こうして…

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こうなったわけですよ
この時自分は歩道の上(長江サイドカーの左横)にいました


相手(男)「大丈夫?ケガはしてない?」
自分「いえ、大丈夫です」
相手「本当に大丈夫?」
自分「はい」
相手「いやー、暗くて止まってるのは見えなかったわ」
自分「暗くてって…」
相手「だってトンネルの中で止まってるんだもの。ハザードもつけないでさ」
自分「バッテリーが上がっていてつけようがなかったんですよ」
相手「それでももうちょっとどうにかできたんじゃないの?」

自分も相手も言いたいことは山ほどあるが、ここで口論をしたところで何の足しにもならない。しかも接触とはいえ事故は事故なので、保険の書類手続きや現場検証などをするためここはとりあえず警察を呼びましょう、と携帯電話を取り出そうとしたところ、相手は声のトーンを落として意外なことを言いはじめた。

相手「あのー、今回の件はうちらで示談にしませんか?」
自分「ん?」
相手「えっと、ほら、俺もよく前を見ていなかった不注意もあるし、貴方も暗いトンネル内でハザードをつけていなかったというミスがあるじゃないですか」
自分「…ほぅ、それで?」
相手「なので、まぁ、痛み分けみたいな感じでさ、お互い何も要求しないということにしましょうよ」
(今となっては記憶がおぼろげだが、大まかに書くとこんな内容の会話だ)


この辺で自分はピンときた。
相手は、年代物のサイドカーという「普段はまず目にすることもない、外見が古くて珍しい『べらぼうに値段が高そう』な乗り物」と物損事故を起こしてしまい、保険や民事での支払いをかなり警戒してこのような提案をしてきたのだろう(もしかしたら実は免停中、無車検、飲酒という理由もあったりして)。
ここのブログを以前から読んでいる聡明な読者様なら既に気づいているとは思うが、長江サイドカーはハーレーやゴールドウイングなどの高級サイドカーとは真逆のベクトルを持つ「安価」で「単純」な構造のサイドカーだ。交換用のパーツは中国のタオバオから個人輸入をすれば驚くほど安く購入ができるし、車体をいじる難易度もそれほど高くないのは、昨年の全塗装作業の記録を見れば明らかだろう。
相手側が「結構金がかかりそうかも」という理由で今回の事故を警察や保険会社に頼まず現場での示談交渉で済ませたい、と考えているのなら、自分としてもまぁ飲んであげるのもやぶさかではない(こっちだって完全に壊れた相手車のバンパーの補修費用で揉めたくはない…っていうかミニバンの新品フロントバンパーだって7~8万円は軽くするし、向こうの方が絶対に修理費用は大きいはずだ)。
それに長江の金銭的価値(安い方のね)を全く知らない相手に対してこっちから値段を吹っかけるのも、人としてのモラルに反すると感じた。

示談案に対してOKというと、相手は壊れたバンパーを後部座席に積み込んで「すいませんね~、それでは」といってそそくさと日高方面へ走り去ってしまった。時間にして5分くらいだっただろうか。あっという間の出来事であった。
トンネルにはまた自分一人だけが残された。


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バッテリー上がりと接触事故という2大要因によりテンションが一気に低下し「あー、もうどうでもいいやっ」という投げやり状態になりながら長江を押し続けた。この時、既にしげーの脳内からは日高で開かれる旧車イベントのことなどきれいさっぱりと消滅しており、とにかくこの個人的な緊急事態からどうやって脱出をすればよいのか、それだけをずっと考えていた。
ふとトンネルの壁面を見ると【非常用電話】なるものが視界に入った。あぁ、もう手にとってかけちゃおうか……いい加減楽になりたいし。
そう考えていた時だった。

AM 8:30頃だろうか、着ているジャケットのポケットが突然モゾモゾとうごめいた…って携帯の着信(バイブ機能)だ。かなりの山奥で尚且つトンネルの入り口までまだそれなりの距離があるのに一応繋がるのか(会社はauです)。
変に感心しながら画面の発信者番号を見ると、まったく知らない相手の電話番号が表示されている。「一体誰がかけてきたんだ?」と疑問に思ったが、とりあえず出ることにする。
「もしもし、こんザザッ…にちは、大丈ザザッ夫で………すか? こち…ら…は日高のイ……ベントのザザザッ……」

それはなんとイベント運営スタッフからの安否を確認する電話であった。
安定しない電波状況とトンネル内に響く走行音が酷くて向こうの言っていることは十分の一も聞き取ることはできなかったが、地獄に仏とはまさにこの事であろう。事前郵送をしたエントリー用紙に記入しておいた電話番号を見てかけてきてくれたのだ。ありがたい。
こちらも現在の置かれている状況を携帯に向かって大声で叫んだが、果たしてきちんと伝わったかどうか……。その後通話はプツリと切れたものの、運営側から連絡があったということは何らかのアクションが期待できるということなのかもしれない。
希望は捨てず長江を押すことに専念した。


電話が来てから30分近く経過した頃だろうか、白色の車が停車し2人の男性が降りてきた。
「どうもこんにちは~、会場にいる他の参加者の方から『日高の手前のトンネルで停まっているサイドカーがいる』と聞いて来たのですが、大丈夫ですか?」
場所が場所なだけに長話はできないので、事の経緯をかいつまんで説明した。
トンネルの出入口までは残り30mほど。一緒になって押して貰う。

ようやく外に出られた(といってもトンネルとトンネルの間にある橋の上なので逃げ場はないが)。原因はバッテリー上がりだと判明しているので、ジャンプスタートをすることとなった。
救援車のバッテリーとケーブルを繋いでセルを回すが、何だかグズってかかりが悪い。もしかしてプラグがガソリンで濡れて被ったか? 運営スタッフの方がここまでしてくれているので内心はすごく焦る。
セルを2回、3回と押すがまだかからない。4回、5回、6回……あ、かかった! 長江は何とか息を吹き返した。
そして上がったバッテリーに電気を充電するため3分ほどスロットルを回し気味にする。
電気を補充しながら改めて損傷具合を確認すると、側車フェンダー後端の塗装が擦って大きく剥がされている以外、それほど目立った損傷は見つからなかった。自走もとりあえずは問題なさそうだ。


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救援車からジャンプケーブルで繋がれる長江。車のフロントグリルにはオペルのマークが付いてる……が、実はいすゞジェミニZZ-R。AM 9:13

バッテリー復活後は速やかに日高の道の駅を目指す。後ろにジェミニのサポートを受けながら下り坂となったトンネルを駆け下りた。

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最終目的地である道の駅樹海ロード日高には10時頃に到着した。
空は今にも泣き出してきそうな曇天ではあるものの、会場内は屋台のテントまで設置され、大勢の人と車で賑わっている。
そしてやはりと言うか、周囲の旧車オーナーさん達からは口々に「トンネルの中で止まってたでしょ?」「あれってどうかしたの?」と矢継ぎ早に声をかけられた。何だか皆さんに大変な心配をかけてしまい、悪い意味で有名になってしまったなぁ……反省。


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ゴールドウイング、トライアンフ、そして長江サイドカーと大型バイク3台が揃い踏み。
ちなみにこの時しげーは無事に会場へ到着できた安堵感で若干の虚脱状態となってしまい、あまりイベントを楽しむ心境にはなれませんでした。
あー今思い返すと勿体無い……。
ゴールドウイングのおじさんからは「またバッテリーが上がったら大変だろ? これをあげるから積んでおきなさい」とトランクから取り出したジャンプ用ケーブル一式を頂いた。
今日ほど多くの人達からの優しさ・ありがたさが染み入る日はない。


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接触事故の傷跡
ぶつかった衝撃で側車フェンダー右横の塗装が剥がれ、スポークが数本緩んでホイールリムが結構歪んでしまった。それとハブと車軸にも多少なりともダメージを受けたみたいだ(まだ分解していないので確認はしていないが)。
今回は相手の車が直前になって右へ回避し、フェンダーをかすめる感じでぶつかっていったのでこの程度のごく軽い損傷で済んだが、あと20cmほど左へ寄って突っ込んでいたら側車フレームと船は間違いなくスクラップとなっていただろう。

それと側車に載せているジェリカンにガソリンが入っていなかったのは本当に幸運だった(今まで入れて走行したことはないが)。もし仮に衝突時にジェリカンが吹き飛んで20リットルのガソリンをぶちまけていたら、下手をするとトンネル火災になっていたかもしれない。
一歩間違えてそうなっていたとしたら……と想像するだけでゾッとする。


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会場は道の駅周辺の駐車場を利用した展示なので、小樽や室蘭で開かれた同種のイベントと比較するとずっと小規模なものです(参加台数は70台前後か?)。しかし、小さいながらも手作り感にあふれており、参加者と見学者の距離の近さや居心地の良さはこちらの方が上と個人的には感じました。


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トヨタ スタウトトラック
今ではこの手の実用ピックアップトラック(サニーとかパブリカとか)は全くと言ってもよいくらいに見かけなくなりました。そしてこの車にはなんと80万円のプライスボードが掲げられていました。どうやら展示を兼ねた売り物(?)らしい
はたして購入者は現れたのだろうか?


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長江の背後には大量の原付が並べられていました。
日高町在住の原付コレクターの方の展示だそうで…どれもピカピカでレアな車種ばかり。
真ん中に見える緑色のフォーゲルはちょっと欲しいな。



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ここにきて頭や手に何やら冷たいものが……予報通り雨が降ってきた。来場者に愛嬌を振りまいていたリスの着ぐるみも雨に濡れてしまう。
長江の左で見切れてしまっている白いのは「伝説のミニカー」である光岡のBUBU。


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イベントスタッフの言によると、自分がトンネル内で難儀しているのを連絡してくれたのはこのマツダルーチェのオーナーさんだという。当日、会うのはかないませんでしたが本当にどうもありがとうございました。



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小樽のイベントにも来ていた農発のオーナーさん、今回は農発にベルトをかけて駆動する籾摺機を持参してシュッポシュッポと運転展示。
なかなかレアなものを見ることができました。


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11:30くらいになると雨が酷くなってきた。
雨音も「ポツポツ」から「シトシト」へ。


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灰色の雲が周囲に垂れ込めて本降りとなってしまった。
20分ほど道の駅の建物内で雨宿りをする。
気温がそれほど寒くないのが救いか。


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だが昼前には雨が止んで少しだけだが青空が出た。


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360cc軽自動車の揃い踏み。
これらで日高の峠を越えてきたのかと思うと長江も負けてはいられない。


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雨粒でしっとりと濡れた車を眺めるのもまた乙なもの。


さて、本当はここにもう少し長居をしたいのだが、帰りのことを考えるとそろそろ出発をしなくてはならない。スタッフの人達と札幌へのルートについて色々と話を聞いてみると…
 1:日高から夕張へ向かう道 『坂とトンネルが結構きついし、人家が全く無いのでまたトラブルが起きると面倒なことになるよ』
 2:日高から穂別を経由し厚真へと抜ける道 『悪くないけど、ここも途中(道道59号)は人家が無いのでちょっと危ないかもね』
 3:日高から沙流川沿いに太平洋へ出る道 『坂はほとんど無いし途中に店や住宅が点在しているのでこれが一番安心できる。ただし距離は一番長い』

「もし帰り道の途中でまたトラブルが発生したら?」と考えると現状では3以外に選択肢は存在しなかった。こういう時にこそ冒険ではなく安全策を取らなければ。
多くの人たちに見送られながら道の駅を後にした。

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道の駅からそう離れていないガソリンスタンドで給油と30分の急速充電をしてもらい、万全の準備を整えて太平洋を目指す。帰り道ではもう運営スタッフの救援も受けられないのだ。トラブルの芽は事前に摘むに越したことはない。
PM 14:30 ガソリンスタンドから出発。

ここから先はわき目も振らずただひたすらに走った。二風谷の手前付近でそこそこ強い雨が降り始めたが雨宿りはせず、全身びしょ濡れになりながら一気に突っ切った(一応雨具は着ています)。そして苫小牧手前の浜厚真を通過する頃には雨も止み、PM 16:30にウトナイ湖の道の駅に到着した。
2時間もの間休憩なしで走ったので、エンジンには少々無理をさせてしまった。ここでオイルとエンジンをしっかり休ませて冷やそう……としたかったのだが、残念ながらまた新たな問題が発生した。それは前回の記事でもそうだった『日没』である。しかも今回は弱っているバッテリーを抱えているので、夜間走行中またいつ停電になるかという心配がある。
少しでも明るいうちに走らなければ。

トイレ休憩後、間髪入れずに札幌へ向けて出発をしたが案の定、というか恵庭付近で日没になり夜間走行を強いられた。正直言ってこの時ほど緊張した運転は今までの人生で無かったと思う。それぐらいバッテリー上がりの恐怖は大きかった(そこかしこに自動車整備工場がある、という妙な安心感はあったが)。

PM 18:20頃、自宅に到着。帰り道では懸念していたバッテリートラブルもなく無事に着いたが、今日は波乱ばかりで心身ともにボロボロとなってしまった。


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道の駅マオイの丘~夕張紅葉山間が33km、夕張紅葉山~日高町間が50.5km。そう考えると日高町~太平洋沿岸~道の駅ウトナイ湖間の101kmというのは、坂が少ない平坦路とはいえなかなかハードではありました。時間にもうちょっと余裕があれば長江を労って運転をできたのですが、今回は非常事態でもあったのでまぁ仕方がないです。

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……で、反省材料ですがバッテリー上がりは別として、緊急時における車載道具の必要性について強く再認識をさせられました。
特に自分の長江はジャーマングレーのつや消しという暗がりでは認識し辛い塗装のため、このような事故に至ったと考えております(つや有り塗装は光を反射するが、つや消し塗装は光を吸収する)。そのため、トランクには反射ベストとともに三角停止表示板とLED非常信号灯の二つも常備しておくことになりました。

もう2015年北海道のバイクシーズンはほぼ終わりですが、来年に向けて損傷箇所の修理をしつつ「いざ」という時の安全対策・事故対策も今のうちにせねばならないな、と思っております。
今回は人との繋がりと有り難みを知ったツーリングでありました。