第35回 北海道ミーティング2017 参加記01

以前から色々と話には聞いたことがあるイベントだった。
たしか初めて自分の耳に入ってきたのは10年ほど昔だろうか?2007年の春頃だったと記憶するが、厚田にある夕日の丘へ長江でツーリングに行き、現地で休んでいるとバイク乗りのオジサンに長江について色々と声をかけられた。そしてその時に言われたのが「富良野で一泊二日のキャンプをして集まる、古いバイクも新しいバイクもごちゃ混ぜな大きいイベントがあるのだが、君はそういうのに参加していないのかい? 」というものだった。
しかし当時の自分は、その手のイベントには大して興味は無かったので「へぇー、そのような催し物が富良野であるのですかぁー」と、適当な相槌と生返事みたいな言葉でオジサンに返してしまった。

それから幾年も経ち、今の自分は道央圏とその周辺で開催される主な旧車イベントには、日程と天候が合えばなるべく参加をするようになったのだが、ここに至って唯一参加をしていない大きなイベントが残されていた。

そのイベントの名は【北海道ミーティング】

今年で35回の歴史を誇り、毎年8月の最終日曜日に開催されるライダー&好事家たちのお祭りである。


デジカメのセンサーや設定がおかしいのか、一部の画像で全体的に白っぽくなっています。ご了承ください。
※※ このイベントは事前申し込み&入金による会員制イベントです。申し込みをしないでイベント当日に現地へ訪れても、入場・参加することはできません。


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8月26日(土)

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船に必要な荷物を積み込む。1泊2日のお気楽キャンプなのでテント、寝袋、シート、折りたたみ椅子の他に食料とストーブなど、積むのは最低限の荷物だけにする。なぜなら欲張ってあまり多く積みすぎると、船からこぼれて落下したり風圧で吹き飛んだりするからだ。それにせっかく都会の喧騒から離れてキャンプをするのだから、あえて多少の不便さを味わう方が粋というものだろう。

準備を整えたら10時丁度に札幌の自宅を出発した。
札幌から東へ向けて走り、江別を過ぎて岩見沢、三笠と順調に通過していく。渋滞もなくとても快適だ。
道中、三笠市内の水田の稲穂はうっすらと黄色に色付いていた。


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11:18 AM 三笠市幾春別で休憩。奔別の立坑を見るのは久しぶりだ。
そして停車中の愛車の右シリンダーからオイルが垂れていて、若干テンションがダウン…まぁ気にするほどの量でもないが(軽くウェスで拭いてやる)。
そしてバス待合所のベンチに座りながら一息つけていると、数台のバイクが富良野方面へ颯爽と走り抜けていった。ライダーの雰囲気と積んでいる荷物からするとご同輩だろう。
11:49 AM 出発

さて、個人的な意見だが幾春別から三段滝にまで至る25kmの山道は好きではない。いや、もっとハッキリ言うと「嫌い」だ。できることならば走りたくない。
登り坂でカーブがキツく、路面も劣化により段差や凹みが多いためパワーもサスペンションも貧弱な長江には酷な道だからだ。おまけに景色も大して良くないので、ひたすら辛抱して作業みたいに走るばかり……早く工事中の美唄富良野線を開通させてくれ。


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傷んだ路面の凸凹にタイヤがぶつかるたびに、ハンドルとシートが突き上げられる。その衝撃に舌打ちをしながらどうにか芦別の三段滝に到着。12:17 PM
ここへ長江で来るのは2013年以来か…。


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目の前の花壇に植えてあるマリーゴールドに蝶がヒラヒラと舞っていた。
オレンジ色に黒の斑点…ギンボシヒョウモンだろうか。


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夏の渇水の時期だからか、滝を見て涼もうにも水量が少ないため冷たさにも迫力にも欠ける。
近くの木に止まったミンミンゼミがうるさいほど鳴いている…暑さ倍増だ。


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滝へ近づくと滝壺には丸太が刺さり込んでいた。
昨年夏の連続台風の影響で上流から流れついたものかもしれない。

駐車場へ戻り、日差しを避けるために公衆トイレの軒下で休んでいると、突然前方から小さな黒い昆虫が硬質な羽音を響かせながらフワフワと接近してきた。
「おっ、これはクワガタか? 真っ昼間なのにずいぶんと大胆だな」
そう思いながら黒い物体を目で追うと、公衆トイレ横のアスファルト上にポトッという感じで着地した。


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だが近づいてよく見てみると、それは期待していたクワガタなどではなく、全長7~8cmのカミキリムシであった。動きは遅い。


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指でつまんで持ち上げると、ものすごい勢いで頭と手足をバタつかせた。
うーん……カミキリムシはよくわからんけれど、調べてみると羽の付け根中央に白い斑点があるのでシラフヒゲナガカミキリとかだろうか? もうちょっと細かく写真を撮影すればよかった。
このままカミキリムシをアスファルト上へ逃がすと、車や人に踏み潰される危険性があったので、公衆トイレの裏にある砂利道の草むらに恩返しを期待してリリース。
12:48 PM 出発

カミキリムシに別れを告げ、目的地である富良野を目指す。
この辺から道路の状況も少しづつ良くなるので、走行中に周囲の風景を楽しむ余裕が生まれてきた。草木のざわめきと虫の鳴き声を聴きながら長江を走らせる。途中にある全長3km近いトンネルの内部は意外なほどに寒かったが。

トンネルを抜けて少し経った頃だろうか。
突如としてエンジンの反応がにぶくなり、スロットルを回しても速度が伸びずに不快な振動と共にゴボゴボと咳き込みはじめた……って、まずい、これはガス欠の症状だ。そういえば先週開催された美唄のイベントへ行った後に給油するのをすっかり忘れていた!
なんという初歩的なチョンボ。遠出をする前にはガソリンの残量を確認しろとあれほど…と後悔をしたところで後の祭り。すぐにコックをひねってリザーブへと切り替えた。
たしか富良野の市街地へ入る手前にあったガソリンスタンドが一番近いはず…と考えながら走らせる。スタンドまでの距離はまだ10km近くある。


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リザーブで一応足りるとは思うが、まかり間違ってタンクの底の最後の一滴まで使い切って途中で止まると怖いな」などとガス欠のスリルを味わいながら、ほうほうの体でガソリンスタンドに滑り込んだ。13:12 PM
給油量は19.77リットル。

目的地である太陽の里まではあと少し。ここでエンジンとオイルを軽く冷却してから出発した。

富良野市街地を抜けてのどかな田園地帯の幹線道路をしばらく走ると、目印である山部駅そばの交差点を右に曲がった。そしてさらに直線道路を3kmほど走って会場である太陽の里に無事(?)到着。 13:50 PM

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受付で会員証を掲示して入場手続きを済ませ、長江を野外ステージ前の指定された場所に停める。…そう、何を隠そう我が愛車は今回の北海道ミーティングで、無謀にもコンクールデレガンスに登録をしたのだ。
北海道ミーティング 公式HPで過去の参加バイクや受賞バイクを見るとわかるが、実を言うと錚々たる名車・珍車がひしめいているこれらの中に、この長江サイドカーがどれだけ通用するかを一度試してみたくなったのだ(過去には兄弟車であるウラルやドニエプルも何台か展示をされている)。
上の画像だとまだ昼の14時を少し回った時間なので、展示車は7~8台と少ない。


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「…長江って何?」と頭を悩ますであろう見学者も多数いるかもしれないのを考慮して、予め自宅でプリントしておいた性能諸元表と、これまでの経歴を簡単にまとめた小さなパネルを一緒に展示した。
これは結構ウケが良かったので(自分も横に立ってあれこれと解説をする手間が省ける)、これから参加する他の旧車イベントでも積極的に使おうかと思います。


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展示車両遠景。この時はまだ台数は少ないが…。


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そうこうしている間に続々とライダーが到着する。
画像が随分と暗いが、これは14~15時くらいから暗い色の雲が立ち込めて細かい雨が降ったり止んだりするようになってきたから。
今夜の天気予報は残念ながら雨模様。明日の天気も怪しい……。


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暇つぶしに一般参加者のバイクを眺めてみる。特に気になるのはサイドカー・トライク用駐車場だ。
だがサイドカーでの来場者は想像していたよりも少なかった(コンクールに参加する自分の長江ともう一台のBMWを含めても全部で6台ほど)。20~30台くらいズラリと並ぶ壮観な絵面を想像していただけに残念…。
やはりサイドカーは世間だとマイナーな乗り物か。


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クラウザー・ドマニ
どうやら昨年5月の日高の道の駅のイベントで見かけたのと同じ人みたいだ。


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カワサキサイドカー(車種は不明。W1Sとか? スイマセン)。舟の色と形状がマッチしている


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全国ニュースにまでなった4日前の朝里峠一家3人死傷事故により、悪い意味で「有名」となってしまったウラル。しかしウラルそのものに罪は無いのだが…。このオーナーさんは北見から来られた初老の物静かな方で、乗り始めて既に8年だと言う。
隣にある赤いのは、VWビートルの空冷水平対向4気筒エンジンを積んだ大型トライク ルバコ。北斗の拳にそのまま登場してもおかしくない外見です。


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見切れてしまったが、左にはエストレヤのサイドカーだけど排気量の小さい250ccのバイクで舟を引くのは大変そう。


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16時を過ぎる頃になると、バイク駐車場はぎっしりとなった。120~130台はあるだろうか?
なお、ほとんどの人達はテントを設営後は焼肉や酒盛りに興じている。


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そして空を見上げると、何とも嫌な感じの黒い雲が覆っていた。水分を多く含んでいそうな雲だ……。


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時刻も17時を回ったことだし自分も夕食とする。食事は準備や後片付けが面倒なのでカップ麺で簡単に……。
お湯を沸かすのに使っているのはBRS-12Aという、タオバオで購入した中国製のマルチフューエルストーブ。外見は何となくコールマンのフェザーに似ているような似ていないような気もしますが、レギュラーガソリン、ホワイトガソリン、軽油、灯油が使えるスグレモノです(ただし灯油・軽油は扱いが難しいが)。このストーブの場合、普段の燃料はレギュラーガソリンが指定なので、プレヒートさえ慣れてしまえばランニングコストは圧倒的に安く済みます。


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19時には前夜祭が始まった。
霧雨が降る中、会場後方にあるキャンプファイヤーに点火。風に煽られて飛び散る火の粉がスゴい。


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司会の方がステージに登壇して振る舞い酒が配られ、さぁ皆さん今夜は盛り上がっていきましょう、という場面で雨が霧雨から本降りになってしまった。


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お陰で北海道ミーティング前夜祭恒例のベリーダンスショーは、雨を避けるために全員がステージに上って見ることに。まるでかぶりつきみたいな近さです。


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前列真ん中の赤と黄色のスカーフを手に持って踊るお姉さんが結構かわいいな、と振る舞い酒をちびちびと飲みながら鑑賞していると、突然肩をポンと叩かれた。
振り向くとそこには……


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なんと昨年の小樽の旧車イベントと札幌運輸支局の車検場で出会った、BMW R100サイドカーノートンコマンド750のオーナーであるS氏でした。今回はノートンにキャンプ道具を積んで参加したという。
お互い「あぁー、奇遇ですねぇ」と声を交わして会話が盛り上がった。

その後、S氏とは小一時間ほど色々と話をしていたが次第にアルコールが脳に回ってきたこともあり、21時頃には自分のテントへ戻ってそのまま就寝。
自分、酒に弱いんですよ。


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8月27日(日)

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朝4時半頃に起床。
夜中はかなり強い勢いで雨が断続的に降っていた(3回ほどテントを叩きつける大きな雨音で目が覚めた)。テントから出て見上げると、東の空にはきれいな朝焼け…今日の天気は荒れるなコリャ。


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8月末の山間部でテント泊をするとさすがに肌寒い。昨晩のキャンプファイヤーの残り火がまだ消えずに燃えていたので手をかざして暖を取った。


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朝もやの中にたたずむコンクールデレガンス参加車両たち。夜中に降った雨でしっとりと濡れています。
この雨でシリンダーの冷却フィンが錆びるなぁ……。


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さて、今回のコンクールデレガンスには新旧合わせて37台ものバイクが登録(本当は38台だが1台リタイアで不参加)されているが、それらの中でも「これはキテる」と思わせる雰囲気を漂わせていたのはこのバイク。
まさに怪しげで只者ではない。

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朝9時
ついに北海道ミーティング最大の見せ場であるコンクールデレガンスが始まった。
司会者からは走行展示の順番や諸注意などが説明される。


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各バイクのオーナー達は、自分の愛車の手入れや調整に余念がない。


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走行展示は場内通路の関係もあるため、5台づつで区切って行われる。


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司会担当のスタッフからはこれから走る5台のバイクの所有者名、車種、年式が説明される。


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……で、トップバッターは只者ではない雰囲気を匂わせるこのバイク。車名はNew Hudson 500。年式は1932年(!)。今回のコンクールデレガンス参加車の中では一番の最古車です。経歴も結構奮っていて、前オーナーは医者で1957年に現オーナーが手に入れて3年ほど乗ったものの、「バイクで事故に遭うと危ない」という理由でバイクを降りてナンバーも返納。それ以来ずっと保管していた(たまにエンジンはかけていたらしい)とのこと。


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後ろに並んだ人たちも固唾を飲んで見守ります。


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シートにまたがってキーをひねり、数回キックをすると……


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ブロロッストトトトトトッ…と小気味良いエンジン音を響かせながら走っていきました。
いやぁ、凄いものを見たわ。


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これが本当の原動機付自転車 鈴木式織機 ミニフリーMF1。
押しがけやキックではなくスタンドを立てた状態でペダルを勢いよく漕いでエンジンを始動させるのですが、本番ではどうもうまくいかなかった模様。


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ホンダベンリィ JC58


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トーハツ ランペットエース


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ホンダベンリィCIII92


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ホンダベンリィCB125改


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後ろはスズキB100


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さて、そろそろ自分の出番か……。

続きます。