日高の山、駆ける

皆さんどうもこんにちは。

さて、ちょっと遅くなりましたが5日前の22日に日高町にある道の駅 樹海ロード日高で開催された【春の味覚フェア 北海道オールドカーフェスタ】についてレポートしてみたいと思います。
なお、今回は前回みたいな手に汗握るドラマチックな展開はほぼ皆無なので、サクッと読んで頂けたらと思います。
それでは、はじまりはじまり。


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5月22日(日)
夜の静けさが周囲を包む早朝3時に起床。しかし、5月も中旬を過ぎると日が長くなってきたのか、すでに東の彼方はほのかに薄白くなっていた。眠い目をこすりながら朝食を食べ、着替えつつ荷造りをして長江を引っ張りだした頃には完全に夜が明けていた。
バッテリーを繋いで燃料コックを回し、「今日も一日頑張ってくれよ!」と期待を込めてキックを蹴り下ろしてエンジンを始動。

もしかしたら朝のうちは肌寒いかも…と用心をしていたが、体感ではそれほどでもなかったので、首にマフラーを巻く程度の簡単な防寒で済ませた。
それでは道の駅 樹海ロード日高へ向けていざ出発。AM 4:40


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……で、すんなりと出発をしたのはいいのだが、札幌新道を走行中に5~6回ほど「パンパンッ」「パァァァァァーーーーーン」「パパパァァァーーン」というヤクザの拳銃抗争事件も裸足で逃げ出すようなアフターファイヤーの炸裂音が派手に鳴り響いた。近隣住民の皆さん、日曜の早朝からどうもすみません。

この原因はわかっていた。それはエンジン前方からエアクリーナーへと繋がるブローバイガスチューブ(にこびりついた残滓)だ。今回のツーリング前にエアクリーナーを取り外して、チョーク周辺に廃油のようにドロリと溜まったブローバイガスの成れの果てを丹念に拭い取ったのだが、この時に拭ききれずキャブへ少量入ってしまったのが悪さをしているのだろう。走行中に加速が落ちて突然ストール気味になったと同時に、足元のマフラーから「パァーン」と癇癪玉が大音量で爆発するのだから何とも嫌になる。
しかし5kmも走るとブローバイガスの残滓もガソリンと一緒に燃やし尽くされたらしく、いつもの安定した走行となった。


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早朝で交通量の少ない新道を南下して大谷地、上野幌とスムーズに通過してく。途中、北の里付近で牛乳みたいに真っ白な濃霧に巻き込まれたが、それらを突っ切って最初の目的地である長沼町の道の駅 マオイの丘へと到着した。ここで
トイレとオイル冷却を兼ねて20分ほど小休止。AM 5:32

とりあえず自宅からマオイまでの35kmほどを走ってみたのだが、想像していたよりも寒くはなかった。昨晩の天気予報だと日中は全道で25度を超える夏日になるとも言っていたし…今日は過酷な一日になりそうだ。

シリンダが素手で触れるくらいにまで冷めたAM 5:58に次の目的地、夕張市紅葉山を目指して出発した。


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由仁や滝ノ上を軽く流して、昨年と同じ紅葉山の交差点にあるセイコーマートへと到着。AM 6:36
ここでまた休憩。なにせここから先は日高の町までの50kmは店が無いし、山間部なので坂がキツいのだ。24馬力という非力なエンジンを労るためにも、オイルをしっかりと休ませなければ。そしてジュースを飲みつつ、チロルチョコをかじっていると、地元住民と思われる軽トラの爺さんに「ずいぶんと珍しいバイクに乗ってるねぇ」と声をかけられた。

しばらくして出発 AM 6:58


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楓地区のやたら凸凹とした路面にハンドルを取られつつ、急坂を乗り越え、穂別ダムの湖面橋を通過したと思ったらまた急坂。長江も自分もヒーヒー言いながら福山の駐車エリアに到着した。AM 7:30
この日は珍しく自分以外に休憩している車はいなかった。だだっ広い駐車エリアに自分の長江が一台だけ、である。トイレ後は特にすることもなくその辺をぶらついたり、ベンチに座ってウトウトしたりして適当に時間を潰した。
それとどうでもいいことだが、ここは一部の工事関係者以外はとっくの昔に無人地帯となっており、周囲には廃屋しかないのですが、ときおりニワトリの鳴き声が聞こえていました(どうもここに小さな畑を作ってニワトリを飼い、別の場所から通っている人がいるみたいだ)。

出発 AM 7:58

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さて、賢明な読者様なら既にお気づきかと思われるが、ここ福山から日高の市街地にかけての道路は昨年秋、全長4kmのトンネル中央部でバッテリー上がりにより立ち往生し、あまつさえ後ろから来た車に接触事故までされてしまった、あの因縁の場所です。
今回は「道中にまたバッテリー上がりにでもなったら…」という可能性を考慮して、予備の12Vバッテリーを船に積んで挑みました……が、先月末に満充電をした新品のバッテリーを搭載している我が愛車は、何事も無くこの山道を突破。気がついたら日高町に到着していました。
まぁ、トラブルは無いに越したことはないんですけれどね。


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会場に入る前に、途中にあるガソリンスタンドで給油。AM 8:15
その後会場入りとなりました。、

まだ朝8時半を少し過ぎたくらいの時間なのですが、会場には既に50台ほどの参加車両が陳列していました。
みんな朝早いなー。


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自分の長江も、スタッフに指示をされた場所へ停めて……とその時、そばにいた人から「このサイドカー、右側のブレーキランプが無いよ。どしたの?」と言われた。
な、なにぃー…って本当だ。どうやら夕張~日高間を走行中に固定していたボルトが緩んで、いつの間にやら外れてどこかに落ちてしまったみたいだ。

あー、なんてこったい。
バッテリー上がりを克服したと思ったら、またトラブル(部品の脱落)が発生とは。オカルトは信じないクチなのですが、自分と日高のイベントとは相性が悪いのだろうか……?


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本来ならば、上の画像のようなブレーキランプのカバーが装着されていました。
5月の連休中にここの電球交換をした際、ボルトの締め具合が甘かったのだろう。 とりあえず今はタオバオの代行業者に部品の注文を出しています。来月上旬ぐらいには届く予定。
自宅に届くまでの間はブレーキ球をタミヤカラーのクリアレッドで塗ってどうにか誤魔化そうかと…。
少しばかしテンションがダウンした。


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バイクコーナーの陳列としては、前に5台のバイクが並び、後ろには日高町在住の原付コレクターの方が所有する多数の原付が並ぶ構図となりました。
上の画像は左からホンダ モトコンポハーレーダビッドソン サービカー、ホンダ ゴールドウイング、長江750サイドカーヤマハ RZ250R
ある意味、尋常ではない絵面ですな。


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…で今回の白眉は、夕張市在住のS氏が所有するハーレーダビッドソン サービカー。今から70年以上前に生産された1943年製です。スゲェ。
しかもナンバー取得済で自走が可能。エンジンの排気量は750cc(俗にいうベビーツインというやつ)で、長江と同じサイドバルブ式です。


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そうこうしているうちに、他の参加者の方々が続々と到着してきました。



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北海道で今年最初に開催される旧車イベントなだけに、皆さん気合が違います。



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イベントが開催される午前10時には100台近いほぼ全ての車両が場内に揃いました。
天気も昨年秋の悪天候という雪辱を果たすかのように澄んだ青空となったのは良いのですが、逆に天気が良すぎて暑いくらいです。日差しも真夏みたいにギラギラと照りつけるし、これだと熱中症になるね……。


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ポンティアックトランザム ファイヤーバード
世間一般ではアメリカのテレビドラマ ナイトライダーのナイト2000と説明したほうが早いかもしれない。この車はお昼頃に遅れて参加したのですが、フロントにはトレードマークであるフラッシャー(赤く左右に点滅するアレ)が装着され、車体からKITTの音声で実際にしゃべる(しかも野島昭生ボイスで)という結構凝ったギミックがされていて……
「ありがとうございます」
「さようなら」
「私に手を触れないで下さい」
色々と間髪入れずひっきりなしにしゃべるので懐かしさと共に爆笑モノでした。
この車のオーナーさんは本当に凄いわ。


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このイベントが開催される4日ほど前に道新朝刊のイベント情報欄に掲載されたこともあってか、見学に来るお客さんの数も凄いことになっていました。そりゃぁもう道の駅の駐車場が観光客の車とお仲間の旧車で冗談抜きにあふれるくらいに…。
完全にパンク状態です。


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10時ちょっと前に、ドコドコという特徴的なボクサーサウンドを響かせて数十台のBMWマスツー集団が駐車場入り。1200GS AdvやK1200などの中に珍しいサイドカーを発見した。
「おっ、あれは…まさか……ドマニ!?」


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生まれて初めて肉眼で見たクラウザー ドマニ。まさか北海道内に生息していたとは…。
BMW K100のエンジンを積んだ一体型の滑らかなボディは、想像していたよりもコンパクトな感じがしました。オーナーの方からは「長江なんて凄いサイドカーに乗ってるんだねぇ」と声をかけられましたが、自分としてはドマニのほうがもっと凄いです。

はぁ~、眼福眼福。


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午後になるとS氏の知人のフラットヘッドハーレー(1200と750)も展示。
うーむ、これが本物のクラシックハーレーなのか。現行のバイクとは漂うオーラが違うな。


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さて、楽しい時間は過ぎていくのが早いもの。いつの間にやらお開きの時間である午後2時となってしまいました。ここで自分もいそいそと荷物をまとめて帰る準備です。
さらば日高よ、5ヶ月後の秋にはまた来られるだろうか……?
他の参加者の皆さんとは、来月末(6月26日)に富良野市で開催されるクラシックカーミーティングinふらので再開するのを誓って別れました。

それでは札幌に向けて道の駅 樹海ロード日高を出発 PM 14:34


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帰り道は日高から穂別を通って厚真へと抜けるルートを走ることにしました。
この帰り道はエンジンやミッションに負担のかかる急な登り坂・下り坂こそ無いものの、見通しの悪いカーブやガタガタとした路面があったり(特に穂別周辺は路面のギャップを多く感じた)と、必ずしも走りやすい道路ではありませんでした。
ただまぁ、夕張~日高間と比べると距離は長いけれど通行量は少ないので、それほど気を使わずマイペースで走れるのがこのルートの強みでしょうか。


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イベント終了後の日高を出発してから1時間半以上、信号以外はほぼノンストップで走った。厚真を抜けて国道234号線に無事到達したものの、マオイの道の駅まではまだ距離があるので、そろそろエンジンとオイルが熱で弱ってくる頃合いだ。どこかに休憩できそうなコンビニはないか…と探しながら走っていると、ちょうど安平のセイコーマートがあったので長江を駐車場に滑りこませた。PM 16:12
ここでジュースを飲みながらオイルを冷やす小休止とする。午後4時を過ぎて、ようやく昼間のうだるような暑さが少しは落ち着いてきたみたいだ。
そして休んでいる最中、ハーレー乗りのライダーに声をかけられ、長江を珍しがられる。

20分ほど休憩の後、出発 PM 16:46

セイコーマートを出発後、エンジンの調子が若干回復した長江を駆って最後の休憩ポイントである道の駅 マオイの丘を目指す。


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道路は快適に流れ、路面に落ちる愛車の影も次第に細く伸び始めてきた。日没までの時間は長くなってきたし、あと一ヶ月半もすれば夏になるのか……と考えながら走っていると道の駅 マオイの丘に到着。PM 17:01
ここでは日高で別れたS氏の知人と偶然出会った(恐らく夕張方面から走って帰ってきたのだろう)。

残念ながら野菜直売所はまだ開店していない(6月中旬以降)ので、この時期にしては特に見るべきものがないマオイの丘だが、備え付けのベンチで手足を伸ばしてのんびりとくつろいだ。

札幌の自宅を目指して出発 PM 17:28


この後は時間帯が良かったのか、大谷地札幌新道で渋滞に引っかかることもなくすんなりと自宅に到着。 PM 18:26



という訳で、14時間近くにも及んだ日高~札幌のイベント強行軍は無事に終了しました。
今回は部品の脱落と真夏並な暑さに参ったイベントでした(風呂に入ったら日に焼けた首と腕にお湯の熱さが染みるのなんの。アチー)。
次は富良野か……。


本日の走行距離:252km