日高を走る 北海道オールドカーフェスタ

10月15日(日)

午前3時半に起床。
温もりの残る布団から這い出て、部屋の空気の冷たさに軽く鳥肌が立つ。そして寝間着を着替えながら、しげーは寝ぼけ気味の脳みそで思案した。

「……今日のイベント、どうしよう?」

理由は簡単、それは「寒い」からだ。
雨や雪が降っているのならすっぱりと諦めがつくのだが、寒さを理由で参加をキャンセルするのは流石に主催者に対して失礼だろう。なにせ今日の天気は全道的に晴れ/くもりなのだから。
天気は良い、だが気温は低い…うーん、と少し悩んだものの、結局は行くことに決定した。
ちなみに本日の札幌の予想気温は最高15度・最低7度である。山深い日高方面だともうちょっと寒いだろう。


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1ヶ月ほど前ならばほのかに明るい時間帯なのだが、さすがに10月中旬ともなるとまだ真っ暗闇である。
吐く息が白い中、日高の道の駅へ向けて出発。5:06 AM

途中、道路沿いに設置してある看板の温度計を見たら、現在の気温はなんとたったの「6度」。そりゃあ寒い訳だ。一応用心して上下共に完全防備(上:ライダージャケット・下:膝パッド&中綿入りオーバーパンツ)なのだが、季節はもう完全に冬だねぇ。

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ようやく東の空から白白と夜が明けてきた。走行中の体感温度そのものは氷点下と言っても過言ではないが、空冷エンジン搭載の我が愛車は人間と違って絶好調である。
そして、ここで自宅を出発した時に付けていた薄手の夏用グローブから、ゴツい冬用グローブへと変える。さすがにこの時期に夏用で走るのは無謀だったか…指先が猛烈にかじかんで、スロットルを回すのにも難儀した。
トイレで用足し後、10分ほどオイルとエンジンを休ませてから再び出発。

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さて、いつもならばこのまま国道274号線を進んで夕張経由で日高町へと向かうのだが、今回は追分~厚真~鵡川~平取を経由し、沙流川を横に見ながら日高町へ行くことに。
まぁぶっちゃけて言うと、夕張~日高間の道路は(長江サイドカーでは)あまり走りたくないなぁ……というのもありますが。

マオイの丘を出発し、牧場と農家が点在する早朝の田園地帯を長江は駆け抜ける。
追分へのショートカットとなるこの道路を走るのは初めてであったが、なだらかな丘が一面に広がっており、プチ美瑛みたいな雰囲気を味わえたのは収穫だった。
…がしかし、この辺は夜中に軽く雨が降ったみたいで路面がしっとりと濡れており、それに朝日が反射して眩しいのなんのって……さらにオマケで空気中の湿度が高くなっているのか、ヘルメットのシールドやサイドミラーが結露でやたらと曇って見辛いことこの上ない。
ほとんど交通量のない早朝だからまだマシだが、これが昼間だと結構危なかったな。

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厚真のセイコーマートで休憩。 6:51 AM
自宅を出てから既に2時間が経過しようとしている。いくら防寒に気をつけてはいても、これほど寒いとはね……とりあえずホットドリンクでも飲むとするか。

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店の入り口の脇に無造作に転がっていたカボチャ。「ハロウィン」ってことなのかな。

ホット甘酒をグィッと飲み干し、15分ほどしてまた出発。道道59号線の厚真~鵡川間の山道でも眩しくて辛かったが何とか突破して(どうでもいいことだが、途中で1匹のエゾシカが道路脇の草を食べていた)、さらに平取へ向かって走る。
だけど坂やカーブが緩やかなのは良いとしても、ここまで眩しいと雨降り後にこのルートを走るのは危険だな…濡れた路面の乱反射で目がチカチカする。

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平取町が目前になってくると道路も次第に乾き始め、シールドやミラーの曇りも軽減され走りやすくなってきた。ここらでようやく落ち着いて走りながら景色を眺める余裕が生まれてきた。
そしてしばらく走っていると平取のセイコーマートに到着。ここで往路最後の休憩とする。 7:42 AM

15分ほどエンジンを休ませていると、何台かの旧車が日高方面へ走り去っていった。
残りはあと50km、頑張って一気に走るとするか。

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ガソリンスタンドで先に給油を済ませてから、北海道オールドカーフェスタの会場である道の駅樹海ロード日高へと入場。 9:01 AM

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会場には既にそこそこの台数が集まっていた。
今年最後の旧車イベント、ということもあるからか皆さん早いなぁ。

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参加記念として貰った平取町特産の【ニシパの恋人 トマトジュース】。
それにしても吹いている風が氷のように冷たい。ここ日高では太陽もあまり顔を出さないし、最高気温も13~14度ほどではないだろうか?

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周りの人たちからは「今朝は寒くなかった?」「札幌からサイドカーでよく来たねぇ」「春は来れなくて大変でしたね」などと声をかけられている間にも、続々と入場してくる参加車両たち。
今日は過去最高となる120台もの旧車が日高に集結した。

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長江サイドカーの配置はこのようになった。
右にはK氏ゴールドウィング1500、左には車体の汚れ落とし等のケミカル剤の販売ブース。
この画像はSJ4000で撮影した動画からのスクリーンショットなのだが、レンズの関係で大きく湾曲して写っている(しかも車体色がデジカメよりも濃くなっている)。

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サイドカーゴールドウィング以外では、原付二種が2台と250ccが1台参加。
こんな寒い時期に難しいとは思いますが、二輪はもうちょっと増えてほしいところです。

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ホンダ ドリームC72(左)とスズキ セルペット(中)、右は……忘れてしまった(たしかホンダの125ccだったはず)。

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イベント実行委員による開会のあいさつや諸注意が終わると同時に、ものすごい人だかりが発生した。

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それはハーレーサービカーのオーナーであるS氏が持ち込んだ、1930年式フォード・モデルA ホットロッド仕様のエンジン始動ショーが行われたから。
3リッターのサイドバルブエンジン(!!)は、豪快なエンジン音を日高町内に響かせておりました。


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外見はこんな感じ(周囲の人が空いてから撮影)。
ちなみにフロントガラスに貼られた【SALE】という紙でわかる通り、実はヤフオクで売り出し中です。

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後ろ姿。屋根はチョップトップ化しているのでかなり低くなっています。
だが、これでもきちんと車検に通っているのは凄い(車検は製造年の法律が適用されるため、古い車ほど規制が緩いのがその理由)。

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エンジンはカバーを外されて剥き出し状態。
これで最高時速90kmを叩き出す。

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運転席

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足回り。
スポークホイールをキャッスルナットで締めて割りピンで固定……長江と同じだ。エンジンもサイドバルブだしね(こっちは水平対向、向こうは直列だが)。

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グリーンの初代RX-7
これほど程度の良いのがまだ生存しているのか。

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トライアンフ ヘラルド
トライアンフと聞くとオートバイを思いつくが、昔は自動車も製造していた。そういや映画007のボンドカーでもトライアンフのがあったな。

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ポルシェ・フェラーリランボルギーニの揃い踏み

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ガルウイングにステンレス製ボディと、かなり斬新なデザイン。

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だけど内装は意外と普通。

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各種イベントでもおなじみ、ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム簡単に言えばナイト2000。
とにかくよくしゃべります。

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こちらは内装が凄いことになっている。
オリジナルのファイヤーバードは普通の丸ハンドルにアナログメーターなのですが、ドラマを参考にハンドルやモニター、スイッチ類を忠実に再現とか、凄いことをやってるなぁ。

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三菱スタリオン
最近はすっかり見かけることがなくなったスタリオンですが、きちんと手入れをされて保存されているのですね。

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三菱J36ジー
このタイプのジープはいいですね。機会があれば乗ってみたい。

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ここの区画の4台だけは、他とは違って濃厚な独特のオーラが発せられていた。
右手前からスズキ ジムニー(初代後期型)、いすゞ エルフ(2代目)、シュタイヤープフ ハフリンガー、ダイハツ オート三輪CM8。

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ジムニーの後ろを見ると、剥き出しの折りたたみ式対面シートである。ここへ座るのには度胸がいるなぁ。

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このイベントは車ばかりではありません。屋台も盛況でした。
自分も冷えた体を温めるために熱々の特製キノコ汁(1杯100円)を食べました。中のキノコは恐らくラクヨウだったはず…。

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昼頃になると、S氏は途中でイベントを抜けて走りに出かけてしまった。
だけどものすごいインパクトだな。

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駐車場はイベント開始前からずっと満車状態。
ぶっちゃけ第2会場と化していた。

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会場遠景。

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道内の旧車イベントでは常連の、北海道発動機保存会の方による農発の実演。
この素朴かつリズミカルな作動音と、燻ったような独特の排気ガスを嗅ぐと「あぁ、イベントに来たんだなぁ」とという実感が湧きます。

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カバーを外したクランク部のアップ
左に見える歯車は、箱マグへ繋がって点火を制御しているのだろう。


運転中の農発の動画。
音はともかく、匂いまで伝えられないのが残念。


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さすがに5台も揃うと壮観です。それとスタイルが丸っこくて明るい色具合なため、何となくゼリービーンズが並んでいる風に見えてしまう。

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隣にはホンダ S800もいました。

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イベントそのものは午後2時までなのですが、お昼を過ぎて午後1時半くらいになると、ポツポツと帰り始める人が出てきます。

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昔から「秋の日はつるべ落とし」と言われています。40年以上前の旧車ともなると配線やライト、ダイナモなどの電装系が現在の車よりも弱いため、暗くなる時間を逆算して閉会前に帰路へつく人が多い。

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今年も春から全道各地で大なり小なり多数の旧車イベントが開催されたが、本日の日高をもって全て終了となった。そしてこれからの北海道は、半年近い「冬」が始まります。

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ゴールドウィングのK氏も「また来年、会いましょう」と言葉を残して帰られた。それでは自分もそろそろおいとまするか。

イベント実行委員のK氏に簡単な挨拶を交わして、道の駅を出発。 14:06 PM
札幌へ帰る道は樹海ロードを通って夕張へと抜けることにした。
正直言って、日高側から長江で登るのには少々心配だったが、結果からすると大したことはなかった。日高町を出て道道610号線とぶつかる丁字路までは「ちょっと坂がキツいかもしれない」という感じだったが、S字カーブからは登坂車線をのんびりと流しながら普通に登ることができた。逆にトンネル通過後の夕張側S字カーブの下り路面が凹凸で荒れていてやや怖く感じたほど(下り坂でスピードが出ている状況で道路の凹みにタイヤがぶつかると、両手に伝わる衝撃が凄いのだ)。
来年からは行きも帰りも樹海ロードを走っても大丈夫……だと思う。

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日高の道の駅を出て、ギリギリ1時間かからずに紅葉山にある夕張の道の駅メロードへ到着。 15:01 PM
ここからは西に沈んでいく太陽との勝負だ。15分ほどエンジンを休ませた後、すぐに出発した。

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長沼町 道の駅マオイの丘。 15:55 PM
ここで復路最後の休憩。紅葉山からマオイまでは周囲の車の流れに乗るためとは言え、エンジンをやや回し過ぎた。そして駐輪場に停めるためにコックをオフにして待っていると、そばにいたライダー達にあれこれと質問されてしまった。

「珍しいのに乗ってますね。これってもしかしてウラルとかいうサイドカーですか?」
あ~とても惜しい。結構長いこと長江サイドカーに乗ってはいるが、ドマイナーなので現在まで車名をズバリ言い当てた人はまだいない。
トイレを済ませた後、10分ほどしてすぐに出発した。傾いた太陽は既に半分ほど沈みかけており、周囲は薄暗くなり始めている。

札幌まで残り40kmほど。とっぷりと日が沈む前には自宅へ着きたかったので、エンジンに鞭を入れて走った。上野幌駅周辺で軽い渋滞に引っかかったものの、そこを抜けると流れはかなりスムーズとなり、札幌新道も日曜の夕方にしてはサクッと通過をすることができた。

17:09 PM トラブルもなく無事に自宅へ到着。
これにて2017年の旧車イベントは終了。結局今年は悪天候だったり時間の都合がつかなかったりで参加できたのは6月のつどーむ、8月の美唄富良野、そして10月の日高の4つだけでした。
さて来年はどうなることやら……。


本日の走行距離:251km