オイルよ止まれ!
このブログの熱心な読者の皆様は既にご存知かも知れないが、我が愛車には長年患っている重篤な病がある。それは右シリンダーからのオイル漏れだ。
12年前に入手して以来、この厄介なオイル漏れにはほとほと手を焼かされ続けてきた。走行中にエンジン右側付近からポタリポタリと漏れているのは確認していたが、如何せん走りながらエンジンを注視する訳にもいかないので、詳しい漏出位置まではずっと把握できずにいた。
ツーリングから帰宅して右足を見ると、漏れ出たオイルでいつも靴がベトベトになっていた。地面には握り拳ほどの大きさのオイル染みができていたりもした。いやもう本当にどうにかしないとな……。
長江サイドカーは右船なのでエンジン右側の作業はしづらい。だけどここは覚悟を決めて船を一旦外して徹底的にチェックをするしかないのか、と思ったその時にふとひらめいた。
手の届く位置にオイル漏れと関係しそうな場所があるではないか、
それはタペットである。問題の右シリンダー付け根の上部にある、ネジ止めされた小さな銀色のカバーがある部分だ。
タペットの上にある細長いのはブローバイガスをエアクリへと通すチューブ。さらにその上にある黒色の円筒形のものは点火コイルである。
カバーの中心にあるマイナスネジをドライバーでクルクルと回して外すと、吸気バルブと排気バルブを上下させるタペットが現れる。ここのバルブの動きはカムシャフトと連動している。
検証のために撮影したアイドリング動画。
実験としてタペットカバーを外した状態で初めて動かしたのだが、これで新たに得られた知見がある。「露出したタペットから飛び散るオイルの量がスゴい」のだ。
20~30秒ほど放置するだけで、オイルの小さな粒が冷却フィンや燃料タンクなどへ四方八方に飛び散ってギトギトヌラヌラに。タペットカバーを付けないとこんなにもオイルで周辺が汚れるのか……うーん、なるほどねぇ。よしっ、それでは「アレ」を使うことにするか。
道具箱から久しぶりに取り出した「アレ」ことスリーボンドの液体ガスケット1216B。購入してから既に4年も経過しているが、特に中身の劣化などはしていなかった。
これでタペットカバーとシリンダーの接合面をガッチリと封をしてオイルの漏れを止めよう、という作戦だ。
タペットに今まで挟まれていた合成ゴム製ガスケット(左)と、これから使用する新品のアスベスト製ガスケット(右)。合成ゴムのガスケットは柔軟性があるものの、エンジンからの熱で容易に歪むので、その隙間からオイルが滲み出ていたのだろう。
逆にアスベスト製ガスケットはプラスチックみたいに固くてコシがある。
タペットカバー、ガスケット、シリンダー基部のそれぞれをパーツクリーナーで念入りに脱脂をした後、指先に適量をとった1216Bを満遍なく塗り込んでカバーをネジで固定した。
……で後日、数Kmほど試験走行をしたのですが、結果は想定通りオイル漏れがほぼ無くなりました(※)。
とりあえず、これで右足の靴がオイルでべっとりと汚れることはもうないだろう。事は単純であったが、この結論に至るまでが長かった…。
※ 未だに右シリンダーの付け根付近から1~2滴漏れているみたいだが、以前と比べると遥かにマシである。