『生の声』と『残された時間』

炭鉱関連の資料を調べている時に、特に強く思うものがあります、それは「当時、実際に現場で働いていた人の話が聞きたい」というものです。
 
実は自分は趣味として炭鉱研究やバイク、釣りの他にミリタリー方面にも手を出していたのですが(最近は御無沙汰気味だけれど)、書籍の場合だと太平洋戦争における個人の従軍記・戦記というのは、師団長・艦長クラスの偉い人から戦闘機パイロットや小隊長などの中堅、最下級の下っ端一兵卒や報道カメラマンに至るまで、有名出版社や自費出版を問わず結構流通しているのですが、これが炭鉱に務めていた元鉱員の本となると全然無い。いや、無くはないのですが非常に数が少なく、あったとしても日常生活と共にサラッと軽く触れている程度だったり、一番知りたい肝心な部分が抜けて解説されていなかったり、という感じです。
 
過去に出された社史や閉山記念誌、技術誌などに書かれている文章や図表は確かに詳しいのですが、それだけではわからない部分も当然多く、そのような細かい所を埋めるためにはやはり実際に働いていた人の話を聞けたら良いのに……という欲求がいつもあります。
財閥系の名のある大手炭鉱でさえ、閉山してから既に15~20年以上経過している現在、1970~80年代に閉山した炭鉱だと、そこで働いていた元鉱員も(当時働き盛りの40歳と仮定して)今では70歳を軽く突破しています。なので、そのような人たちが鬼籍に入る前に色々と話を伺ってみたいものです。
ただし問題としては、自分と彼らに知り合うコネが無いのと、閉山や定年退職を機に別の場所へ転居している人が大多数だということでしょうか。