【ヨタ話】 炭鉱建設考

これから書くことは私しげーの完全な脳内妄想です。半分寝ながら書いています(笑)。
関係する業界に所属されている方が見たらバカバカしい文章とは思いますが、まぁ肩肘張らずに笑って読んで頂けたら幸いです。

さて、自分は炭鉱という極めて地味でマニアックな趣味を始めて早三年、色々と過去の資料を読んだりニュースを見たりするうちに「ここらでもう一度、夕張・空知地区で坑内掘り炭鉱を復活することはできないだろうか」と、ふと考えました。

2007年頃から新興国における石油の需要増大と投機による高騰に引っ張られて、海外の石炭価格も同時に高騰したのは記憶に新しい出来事です。一応、リーマンショック以降は沈静化し石油も石炭も価格は下がりましたが、以前ほどの水準にはならず、またジリジリとですが価格は上昇しつつあります。
日本では昭和30年代中頃から始まったエネルギー革命以降、それまでの炭主油従から油主炭従へと需要が大きく変わり、石炭は古いエネルギーとして消滅したかのように見えます。が、実は現在の日本は世界最大の石炭輸入国であり、石油と同じくほぼ100%を海外からの輸入に依存しています。
  ※一応は空知地方にある露天掘り炭鉱と釧路コールマインも稼働していますが、採炭量としては本当に微々たるもので比較になりません。
 
2010年現在、海外の鉱区開発費や人件費、輸送費を全てひっくるめても外国から輸入したほうが断然安い……のですが、このような日本に有利な状態がずっと続くとはあまり思えません(現在の80円台を切る勢いの円高を見ていても)。
日本が石炭を一番仕入れている国はオーストラリアですが、大規模な露天掘りで採炭できる浅い炭層が次第に枯渇し始めているとも聞きます。お隣りの中国も以前は日本へ石炭を輸出していたのですが、近年は好景気で内需が拡大したため海外への石炭輸出をストップし、それらを国内向けに振り分けています。
 
石炭は石油と違い、世界各地に広く埋蔵しており「地域的偏りの少ない化石燃料」と例えられていますが、その半分以上は石炭としてはカロリーが低く価値の低い亜炭・褐炭であり、一般炭は40%程度、さらに粘結性を持つ原料炭は10%しか存在していません。
ちなみに空知地方に埋蔵している石炭の種類を大まかに分類すると、夕張は強粘結性の原料炭、赤平や芦別では弱粘結性~粘結性の原料炭、三笠では非粘結性の一般炭となっており、どれも品質としては非常に優秀で輸入炭に対しても引けを取りません。

世間一般では「炭鉱の閉山=石炭を掘り尽くした」というイメージも強いみたいですが、それは一部を除いて実際は逆です。
「炭都」と呼ばれた夕張市の場合では、1890年に採炭を開始してから1990年の閉山まで100年もの間ずっと掘っていましたが、それでも夕張市の地下に眠る石炭埋蔵量の20%前後しか掘られていません。さらに赤平や三笠などを含めた空知地方全体の埋蔵量で見ても、石狩炭田100億トンのうち90%以上の石炭は未だ手付かずの状態です。
  ※勿論、全てを掘り出せるわけではありませんが。
 
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         (単位 円/トン)
では、なぜそれだけの石炭埋蔵量がありながら、住友や三菱などの大手は炭鉱経営から手を引いたかというと答えは簡単で、単純に輸入炭との価格競争で差が開いて勝負にならなくなったからです。主な取引先であった鉄鋼会社や電力会社も、企業である以上利益を出すのが仕事なので、圧倒的に価格の安い輸入炭に流れることになります。
この輸入炭の増加に拍車をかけたのが、1985年のプラザ合意による急激な円高ドル安で、これによって国内炭は完全に止めを刺されました。
 
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もし、坑内掘り炭鉱を建設するとして、その場所の選定ですが、需要先や積出港までの距離を勘案すると夕張周辺が無難だろうか…。
 1:沼ノ沢西部・紅葉山南部(室蘭・苫小牧に近くて交通の便が良い)
 2:南部青葉町(未開発地区だが、幌内層と夕張層の深さが難点か?)
 3:鹿の谷周辺(夕張新鉱と同時期に北炭による開発計画があった)
完全な独断と偏見ですが、夕張市内で坑内掘りとなるとこの辺でしょう。
(炭層や土地の状態はあまり考慮していません(笑))
 
「昔掘った炭鉱の坑道を再利用すれば良いのでは?」と考える人もいるかと思われますが、閉山し放棄された坑道というのは盤圧で潰れて内部は湧水やガスが充満しているのが常なので、これらの危険を考えるとあまり有効ではないと思います(川底を古坑道が突き破って出水した豊州炭鉱水没事故みたいになる可能性もある)。
浅い部分での坑内掘りをするのなら空知炭鉱(歌志内)や朝日炭鉱(岩見沢)の周辺も悪くないかもしれません。ただし空知炭鉱の場合は、炭層の傾斜が急で機械化が困難なので、人海戦術による欠口採炭が主になるでしょうけれど。
 
坑内掘り炭鉱で問題となるのは開発費と維持費です。
夕張新鉱の場合は完成まで5年の歳月と360億円近い巨費が投入されましたが、これは今の価値に直すと1200億円は超えると予想します。まぁ、作るのに手間のかかる立坑ではなく、斜坑だけにすればある程度安く上げられるでしょうけれど、このあたりは炭層分布や出炭能率、切羽位置との兼ね合いになります。
そして完成後の維持費に関しては、費用の殆どが坑内の排水ポンプと換気用扇風機を動かすための電気代です。この二つの機械は閉山するまで止めることはできません(止めると坑道が水没したりガスによって窒息したりするので)。自社で石炭や坑内ガスを利用した火力発電所ガスタービン発電所でも持てればいいのですが、そこまでいくと更にコストが跳ね上がります。
 

……以上、ここまで眠い頭で適当に長文を書いておきながら何ですが、新規での炭鉱の建設は難しいですね。
最近ではコストの安いベトナムインドネシアの地元資本に、日本の商社が協力という形での炭鉱開発も進んでいますし、やっぱり国内は無理なのでしょうか…石炭の品質では負けないのですけれど。