初めてのカヤック

もう10日ほど前の出来事になるのですが、生まれて初めてカヤックを漕ぎました。

サイドカー乗りのしげーが、なぜ畑違いのカヤックを……?」と思われる人も多いと思いますが、実は以前から入手したいな、と考えていたんですよ。そしてその目的は「釣り」です。

今まで自分は専ら防波堤や磯などで釣りをしてきたのですが、ここ数年、沖合でミニボートがのんびりと浮かんで釣りをしているのを見て「あぁ、ボート釣りの人たちは場所取りや隣人とのオマツリとかとは無縁で羨ましいなぁ」と思うようになりました。だけどエンジン付のボートを買うとなると結構高いし、トレーラーや相応の広さの保管場所も必要になる。エンジン出力によっては船舶免許も取得しなければならない(2馬力までは免許不要だが)。
うーん、さてどうしたものか……と思案していると、現在本州方面で流行となっている「カヤックフィッシング」を思い出した。カヤックフィッシングとは、その名の通り1~2人乗りのカヤックで海へ出て釣りをする、というもの。動力は人力だが、レジャー用ゴムボートや公園の手こぎボートとは違って、抵抗の少ないスリムな船体をパドルを使って漕ぐため、かなり効率よく進むことができます。

ただし、海でカヤック釣りをする人たちのほとんどは、リジット艇と呼ばれるFRPやポリエチレンで作られた硬質のカヤックを使用しています。そして残念ながらこのタイプのカヤックは全長が長い(最低でも3m以上)ので、自動車でないと運搬は不可能です(自分は自動車の免許は保有しているが、車そのものは持っていない)。

でも、調べてみるとありました。自分みたいな自動車非保有者でも買えそうなのが。
場所を取らないコンパクトなカヤックは現在2種類ありまして、ファルトカヤックとインフレータブルカヤックがそれです。どちらも航行性や耐久性ではリジット艇よりも劣るのですが、携行性や収納性、軽便さでは遥かに凌駕しています。
ファルトは細長いフレームを組み立てて外側に船体の生地を着せて中に浮力体を装着するカヤックで、インフレータブルは自転車のタイヤみたいに空気ポンプで空気をシュコシュコと入れて完成する、超高性能なゴムボート風のカヤックです。
…で肝心の価格ですが、ファルトカヤックは結構高い(一番安いものでも15~20万円以上はする)のでパス……となると、リーズナブルに買えそうなのは自動的にインフレータブルタイプとなります。それでも色々と調べてみると結構いいお値段だ。夏になると近所のホームセンターや大型スーパーで安売りされる海水浴客向けのゴムボートとは訳が違うな。


とりあえずインフレータブルカヤック所有者のサイトやブログを参考にしつつ、最終的に狙いは2つに絞った。
イメージ 10

イメージ 11

以上の2つです。

この2艇はどちらも二人乗りインフレータブルカヤックとしての評判は高く、デザインもかなり洗練されています。特にセビラーユーコンは秀岳荘白石店のカヤック売り場で展示されている実物をわざわざ見に行ったりもしました。
最初に検討していた時はユーコンの購入に気持ちがかなり傾いていたのですが、この2艇に関する情報を自分なりにまとめてみると「実はファイアフライ2の方が合っているのでは?」と思い始めました…というか、他のブログなどではファイヤフライ2で実際に海で釣りをしている人が多いのが決定打となりました(ユーコンで釣りをしている人はなぜかあまり多くない)。
それとファイアフライ2は派手なオレンジ色なので、もしも遭難した時には目立って救助されやすい……という効果も期待できるし(ずいぶんと後ろ向きな思考だ)。

…そして、あーでもないこーでもないと数ヶ月考えた末に、しげーは先月上旬にファイアフライ2をポチッたのであった。お値段は5万円。さらにパドルや救命胴衣など装備一式を購入したので総額は8万円近くになったが、それでもカヤックとしてはかなり安く済んだ方ではある。


/////////////////////////////////////////////////////////////////////


連休前半は晴れて穏やかな日が多かったものの、後半になると曇り空で肌寒く、風が強い日ばかりとなってしまった今年の黄金週間。そんな自分はファイアフライ2を膨らませたり畳んだりと何度か練習をしつつ、出艇の日を待った。
せめて初漕ぎは天気の良い日にしたいからね。それと遭難して死にたくないし…。


5月9日

イメージ 1
カヤック本体、パドル、釣り具などを船に満載。
一番図体のデカいカヤックは、見た目に反してそれほど重たくはないのだが、畳んでもそれなりにかさばるので座席へ載せるのは結構大変です。車ならば積むのも楽なんだけどなぁ……。ちなみに側車の予備タイヤの上に見える小さなタイヤは自作のドーリーです。しかし構造に致命的な欠陥があって現地では全く使い物にならなかった。これは要改良だ。
向こうに到着してから忘れ物が発覚しないよう持ち物リストで入念にチェック後、石狩に向けて出発。 8:27 AM


イメージ 2
石狩湾新港 樽川埠頭に到着 9:05 AM
岸壁には数人の釣り人がいたので近づいてみると、サビキで良型のニシンがポツポツと釣れていた。だけどウグイが多いかな。


イメージ 3
樽川のすぐ先にある、西埠頭チップヤード手前の小さな砂浜。9:18 AM
最初はここからカヤックを出艇させる予定だったのだが、北から吹いている風がちょっと気になる。ここで一時間半ほど様子見で風待ちをしたものの、どうやら止む気配が無さそうなので諦めて場所移動。


イメージ 4
チップヤードのそばでは北電のガス火力発電所の建設工事が急ピッチで進んでいた。建屋はそろそろ完成するだろう。


イメージ 5
先程の場所から直線距離で2.5kmほど離れた東埠頭付け根にある放水路横の砂浜に到着。 11:15 AM
この時間帯だとボート釣りを終えて帰る準備をしている人が多い。
釣果を聞いてみると沖防の港外(赤灯周辺)でマガレイやソウハチの30cm前後がよく釣れた、とのこと。だけどここから赤灯までは片道でも3km近い距離がある。さすがに手漕ぎのカヤックでは遠すぎるし、何かトラブルがあった場合は危険なので行く気にはなれないが。


イメージ 6
ここの砂浜は西埠頭と違ってほぼ無風なので、お天道様の気分が変わらない間に早速準備を開始。
収納バッグからスルメみたいに平べったい船体を引っ張り出し、付属の空気ポンプで空気を入れると5分とかからずにカヤックが完成した。ちなみに海で単独のカヤック遊びをする場合、パドルは必ず2つ持ちましょう。
これはなぜかというと、カヤック釣りを趣味としている人のブログを読むと、そこそこの頻度でパドルを水中に落としたり、ジョイント部が壊れたといったトラブルに見舞われているからです。もしパドルが1本しか手元にない時に沖でこのような目に遭うと確実に海保のお世話となります。なので安物で構わないので予備パドルは携行した方が身のためです(リーシュコードで繋ぐとさらに安心)。

ちなみに自分の使用しているパドルは
メイン:セビラー 4ピースパドル230cm(7千円前後)
予備:モンベル 2ピースパドル225cm(5千円前後)
となっています。
しかもファイアフライ2は側面にパドルホルダーがあるので、搭載した予備パドルも邪魔になりません。

それでは待望の出艇。 12:10 PM


イメージ 8
スニーカーから長靴に履き替えてカヤックを波打ち際から押し出し、静かにシートへと腰を下ろす。そして両手に握ったパドルに力を込めて水面を掻くと、カヤックは音もなくスッーと前へ進んだ。
文章にして書くと何ということはないのだが、これにはちょっと感動した。似たような感覚としては初めて自転車に乗れた時のようなものだろうか?

観光用の手こぎボートなら、今から20年ほど昔の学生時代に支笏湖で友人たちと漕いだことはあるが、カヤックはそれと全く違う。軽く興奮しつつパシャパシャと漕いだら、わりとすぐに中央埠頭の外側へと出た。砂浜からの距離は800m、時間にして15分前後だろうか。スピードは徒歩より少し遅い程度。
遠くには入港してきた砂利運搬船が確認できる。こういう時は中~大型船舶の曳き波に注意しなければ。


イメージ 7
中央埠頭沖側にあるLNGの荷揚げ設備。
地上からは見えないものをこうして見ることができるのはとても新鮮だ。カヤックも船底にあるスケグが効いているので、安物のダッキーと違って尻を振ることもなく安定して進む。

ここで本来の目的である「釣り」を思い出した。
一応30分ほど竿は出したものの、海底にアンカーを下ろしていないので、ほんの僅かなそよ風でもカヤックは流されて釣りにならなかった。パラシュートアンカーは積んでいるけれど広げるのが億劫だったもので……。


イメージ 9
あれこれと気ままに遊んでいたら既に1時間半ほど経過していたので陸へに上がることに。人生初のカヤック体験だったので時間が経つのは早かった。 13:50 PM
ちなみに浅瀬でカヤックから足を出して立ち上がる時に失敗して尻を濡らしてしまった。とてもカッコワルイ
上陸後は撤収作業なのですが、空気を抜いて畳む時にはピクニック用のレジャーシートとかが必要ですね。砂浜だとカヤックに砂が付着して収納する時にザラザラになって厄介です。

以上、石狩湾新港でのカヤック体験でした。
今回は全部で2kmほど漕いだだけですが、この経験を次回の釣りに繋げたいところです。…だけど春のカレイ釣りシーズンはそろそろ終わりそうなんだよねぇ……。

イメージ 12
こんな感じで漕ぎました。


※帰宅後は忘れないうちに真水でカヤックやパドルを念入りに洗いましょう。
そして次の日から3日間ほど腕と肩の筋肉痛で苦しんだ。これは「筋トレをしっかりやれ」という神の啓示か。