室蘭行 サイドカー2台のぶらり旅

北海道で2016年最後に開催されるクラシックカーイベントである室蘭クラシックカーコレクション。いつもなら自分一人で行くのですが、今年は違います。
なんと今回は山梨在住の保坂博文氏が愛車のウラルで北海道へ駆けつけてくれることになったのだ。

イベントの開催日は10月2日なので9月30日にフェリーに乗船し、1日に小樽へ上陸すれば時間的にも結構余裕があることになるので、こちらとしてもちょっとした案内などもできるだろう、と考えていた。

だがしかし……


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フェリーの乗船日である9月30日、新潟港へ移動していた保坂氏のウラルは、走行中にシリンダから多量のエンジンオイルが吹き出すという、かなり重篤なトラブルに見舞われてしまう。これによりかねてから計画していた北海道行きは急遽中止となり、自宅のある山梨へ帰る事態となってしまった。
春先から北海道行きの話を度々していただけにこの報告には残念無念、明後日の室蘭のイベントには仕方がないが一人で行くことにしよう、などと思っていたのだが翌日になると……

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…えっ………マジで?
(1日19時頃に帰宅後、このコメントを見て思わず絶句したのは言うまでもない)


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10月2日(日)
午前3時45分に起床。外はまだ漆黒の闇。窓を開けると真冬ほどではないが空気はとても冷たく、口から吐いた息がかすかに白くなる。
保坂氏が乗船しているフェリーが小樽港の勝納埠頭へ接岸するのは午前4時30分頃。今頃は余市周辺の沖合を航行しているのだろうかと考えながら上陸を待った。
フェリーから下船する直前に互いに落ち合う場所などの詳細をメールで送信すると、しばらくしてから「これから札幌へ向かいます」との返信があった。

そしてすっかり夜が明けた1時間半後、待ち合わせ場所へ……

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6:45 AM
ついに保坂氏のIMZ8.103 ウラルサイドカー&自分のCJ750M1M 長江サイドカーとの夢(いや、悪夢か?)のコラボが実現。おおおぉぉー、25年以上昔のヤマハオートセンター(現:レッドバロン)時代に輸入された貴重な650ccウラルだ。まるでロシアの夏の青空を彷彿とさせる爽やかな水色塗装も、どことなく大陸的な雰囲気を漂わせているように見える。
それにしても保坂氏にはわざわざ寒い時期の北海道にまでご足労いただき、本当にありがとうございます。

で、ここぞとばかりにウラルをじっくりと観察した……かったのだが、室蘭のイベントの時間が刻一刻と迫っていることもあり、数分ほどの手短な会話を済ませた後、共に室蘭へと出発した。

ちなみに保坂氏のウラルは素のウラルと比較するとエンジン内部や電装、足回りなどを自身でかなり手を加えており、しげーのヘナチョコDIYな長江と比べるとまさに月とすっぽん。知識と経験と技術の差を哀しいほどまでに痛感した。
※※ しかしそんな保坂氏でさえ、今回の新潟へ行く途中に運悪く発生した「エンジンオイルのダダ漏れ」事件はさすがに驚いたという。そして自宅へ急いで戻って即座にシリンダを分解、患部のガスケット交換で急場を凌いで翌日の乗船までになんとか間に合わせた…とのこと。


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自分が保坂氏を道案内をする形で先行しながら札幌新道を里塚まで南下し、続く国道36号を苫小牧方面にひた走る。
2台のサイドカーは平均時速50~60km前後で北広島、恵庭と渋滞にはまることもなくスムーズに通過し、このまま何事もなく……という所で我が愛車の長江にトラブルが発生。千歳に入る手前あたりから次第にスロットルが渋くなって力を込めてもうまく回らなくなり始めたのだ。好事魔多しとはこのことか…。


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渋くなったスロットルをしばらく騙し騙し握りながら走っていたのだが、結局は吉野家千歳店前の交差点で信号待ち中に完全に回らなくなり、ここで進退窮まってギブアップ。他の通行の邪魔にならないよう、歩道の端へ退避して修理の店開きとなった……こんな時に保坂氏までも巻き込んでしまい大変申し訳ない。

工具を片手に前ブレーキレバーとタイコを外してスロットルグリップをまるごと抜き取り、中にある2本のスロットルワイヤーと繋がる小さな金具を取り出すと原因はすぐに判明した。グリス切れによる金具の潤滑不足だ。これによって金属部品の摺動面が噛んで引っかかった状態となってしまい、スロットルの滑りが悪化したのだろう。
だが原因がわかったものの、こういうときに限って手持ちにグリスが無い(補充用のエンジンオイルはあるのに)。さてどうしたものか…と思案をしていると、おもむろに保坂氏がウラルの工具箱からグリスを差し出してくれた。やはり持つべきものは友だ、とても有り難い。
修理後のスロットルグリップは、余計な重さや抵抗感が消えてヌルヌルと気持ち悪いぐらいによく回るようになった。9:04 AM

このしょうもないトラブルで20分ほど貴重な時間を取られたが、気を取り直して再び室蘭を目指す。


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新千歳空港を通過し、その先にある道の駅ウトナイ湖でトイレ&オイル冷却を兼ねてしばしの休憩。9:23 AM
ここでは自動車駐車場とバイク駐車場が満車で既に塞がっていたので、仕方なく端の空いているスペースにサイドカーを停めた。

20分ほど一息つけた後、ウトナイ湖を出発。ここからはほぼノンストップで室蘭を目指す。雨が直撃した昨年とは違い、多少の風はあるものの今年の太平洋沿岸はとても天気が良くて気持ちもいい。
だけどあいかわらず信号運は悪いな自分…。流れに乗って走っていても、自分が通り抜けようとするタイミングで必ず赤になってばかり。こういう部分で地味にストレスが溜まる。


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11:32 AM
目的地である室蘭港フェリー埠頭へ無事到着。
既に開場から2時間近く経過しているので中は大勢の人と車でごった返している。
ここで自分は参加手続きを済ませるために、一旦保坂氏と分かれて別行動となった。

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本部の受付でスタッフと参加手続きをしている間、会場中央にある特設ステージではオーナートークショーが行われていた。この時は丁度ハフリンガーのオーナーが司会とトーク中。
ハフリンガーは営林署(当時)の払い下げ車として入手し、しばらくの間は自宅の農作業で使っていたという。


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そしてスタッフに指定された場所へ長江を移動。2輪は自分のを含めて5台(うち2台は原付)が展示。


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1980年代(昭和末期~平成初期)の国産車展示ゾーン。
この時代の車はエンジンや足回りの制御にコンピューターを使っていることが多いので、維持は結構大変だと聞いたことがある。ましてや当時物の基盤や電子部品など今更メーカーから出るはずもなく…。


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会場を見渡すと、どうやら今年は室蘭ナンバーを付けた1934年式ダットサンは参加していないみたいだ。それに代わる一番古い車として1929年式エセックス スーパーシックスクーペという車が展示されていた。


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「クーペ」と名前がついているので2ドアの2人乗りなのだが、リア部を開くとさらに2人が乗れるようになっている。だけどこれはいざ乗るとなると怖すぎるだろう。


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車輪には木(!)が使われている。腐ったり折れたりしないのかちょっと心配だ。


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最近はこの手のイベントでもフェラーリを見かけるようになりましたね。


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いつ見てもボンネットとフロントガラスが面一みたいなデザインはミニスーパーカーっぽくて見栄えが良い。塗装が落ち着いたブルーメタリックというのも、派手過ぎずいい感じです。


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会場の道路を挟んだ向かいにある、フェリーターミナルビルのトイレへ行く途中に来場者駐車場で見かけたトヨタ S800。「ポロンポロンポロン」という軽い排気音を響かせながら走っていました。


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しばらくすると長江の展示場所に「将来、ウラルや長江などのサイドカーを入手しようか考えている」という若い方が訪れ、保坂氏と一緒にあーでもない、こーでもないとくだらないネタを交えつつ色々とアドバイス(と言っても良いものやら…)。なかなかの覚悟がある方デスネ。


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そうこうしている内に愉快な時間は過ぎて午後2時半。最後はこのイベント恒例の退場パレードです。スタッフから「パレードの先頭はバイクが走ってください」と指示をされたので、ゴールドウイングのオジサンと並んで出口でしばらく待機。
あ、どうでもいいですが最近になってハンドルに小さな時計を装着しました。タオバオで購入した安物なのですが、運転中に時間を確認する際、いちいち左手首をまくって見る手間が省けてかなりいい感じです。

「それではゆっくりと道路の中央を進んでくださーい」と声をかけられて退場パレードが始まった。ほんの短い距離ではあるが、道路脇にいる多数のギャラリーに向けて手を振ってサービスをする。


この時に撮影された退場パレードの様子がYoutubeにアップされていたので勝手ながら紹介。0:14~0:22に自分の長江が映っています(0:20秒以降は意識してなかったがカメラ目線気味だ)。

パレード後はそのまま札幌へ……としたかったが、保坂氏のウラルを停めている来場者駐車場とその周辺がパレード中は出入りが規制されるため、パレードが終わるまで20分ほど待機。パレードの規制解除後、駐車場から出てきた保坂氏のウラルと共に来た道を戻って一路札幌を目指す。14:50 PM

そして帰り道の途中にある白老のセルフスタンドで給油。16:02 PM
自分の長江は約16リットルのガソリンを給油したが、保坂氏のウラルはOHVによるパワーと燃費の良さも影響するのか、やや少なくて13リットルほどだという。
ウラルと長江は今朝札幌をほぼ満タンで出発して全く同じ距離を一緒に並んで走っている以上、この給油量の差は搭載しているエンジンの違いが大きい。特に長江のSVエンジンは馬力が低いので、交通量の多い幹線道路では流れに乗るためにスロットルを意識的にブン回さざるを得ない…我が愛車よ、酷使してゴメン。

給油後は再び札幌を目指して走り始めたが、秋の日は短い。路面に落ちる影は次第に細く長くなり、苫小牧沼ノ端付近で完全に日が沈んでしまった。ついでにウトナイから大曲にかけての36号線は市街地を除いて照明や街路灯が乏しいので、作業用反射ベストを着用(昨年の接触事故による教訓)して対向車・後続車からの視認性の向上に努めた。

午後7時前後
白老で給油後、休まずに延々と走って札幌中心部に到達。
せっかくなので保坂氏の泊まるホテルまで道案内をして送ろうと、ホテルのある豊水すすきの駅近くにまで来た……のだが、なんと「どこにそのホテルがあるのかわからない」という状況に…。一応自分は札幌生まれ&札幌育ちなのだが、ススキノの南側周辺ってまず普段は行かない場所なので、結局は競輪場外のそばで詫びながら別れることとなった(「ホテルまで案内しますよ」と自ら言っておきながらこの体たらく)。
最後の最後でこんなしょうもないオチになるとは。ハァ……すみません。


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翌日も休みならば札幌周辺を色々と案内しながら2台でツーリングをしたかったのだが、残念なことに仕事。今回は山梨から来ていただいた保坂氏に対して満足のゆくセッティングもできず、札幌と室蘭を往復するだけという少々味わいに欠けるサイドカーツーリングではありましたが、本当にお疲れ様でした。

次は自分が本州に長江で上陸する番か…?


本日の走行距離:278km(きちんと計測をしていないのでおおよその数値)