5年ぶりの参加! クラシックカーミーティングinふらの

6月23日(土) イベント前日

明日は今シーズン初の長江による遠出(とはいっても札幌から100km程度だが)となるので、保管先である親戚宅の農機具倉庫で午後からブレーキシューの状態確認やワイヤーの遊び調整、緩みそうなボルトやナットを事前に増し締めをしたりと、気になる部分を細かく点検した。

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ついでに後輪タイヤをチェックしてみると、溝が摩耗してそろそろスリップサインに到達しそうだったのでこれを機に交換。しかし新品タイヤをはめ込んだ際に、中へ詰めたチューブをタイヤレバーでコジッて穴を開けてしまった……久々にこんな単純ミスをしてしまいとてもカッコ悪い。

…で、整備・点検も夕方には片付いたので、それでは愛車に乗って自宅に帰るとするか、とエンジンをかけようとしたのだが、なぜか始動しない。キックをしてもセルを押しても全然ダメ(セルは勢いよく回るので、配線やスイッチ類にはきちんと通電している模様)。4週間前に近所を軽く5~6kmほど走った時には普通に動いたのだが。
うーん、それにしてもバッテリーは先月上旬に新品へと交換をしたばかりだし、ガソリンは昨年秋の冬眠前に満タンとしたので、半年程度で品質が大きく劣化することは考えられない。一体何が原因なのだろう? もしかしたらバッテリーの初期不良
結局、この日は長江に乗って帰ることは叶わず、車体からバッテリーを取り外して自転車で持ち帰ることとなった(そして帰宅後、バッテリーを購入した自宅近くの量販店で同型品と交換してもらう)。


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6月24日(日) イベント当日

3:50 AM 起床。
夏が近いからか、東の空は既に明るくなりかけていた。
朝食を軽く済ませて服を着替えると、すぐにバッテリーを自転車に積んで親戚宅の倉庫へ向けてペダルを漕いだ。昨晩のうちに自宅へ長江を持ってきていれば、あと一時間ほど寝ていられたのだが…。

4:55 AM 親戚宅へ到着。
とりあえず新品のバッテリーを繋いでセルボタンを押した……のだが、やはりダメだ。セルは回るし、前照灯やウインカーも眩しいくらいに光るのに、なぜかエンジンだけは神経を切断されたかのようにピクリとも動かない。原因はバッテリーの初期不良ではなかった。
心の中でモヤモヤが次第に大きくなっていく。これは「何か」がおかしい…。

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しかし、愛車が故障で動かないからといって闇雲にあちこちイジり回すのは、過去の己の経験からしてさらなる泥沼にハマッて事態が悪化する可能性が高い。
ここは一旦基本に立ち返って【内燃機が動作するための3要素】を冷静かつ落ち着いて思い出してみる。
 よい燃料:劣化していないガソリン
 よい圧縮:気密性が保たれたシリンダーとピストンとバルブ
 よい火花:充電されたバッテリーと火花がきちんと飛ぶプラグ
どれほど古くてボロいエンジンでも、この3つがちゃんと揃えば必ず動く、と言われている。これは逆に言うと、たとえ最新の高性能エンジンでもこの3つの内のどれか一つが欠けていると絶対に動くことは無い、ということにもなる。

燃料はタンクからコックを経てキャブレターへ供給されている。圧縮もキックペダルを踏み下ろしてみると重たい抵抗感がある。ヘッドガスケットは目視で確認をした限り、緩んだり吹き抜けてもいない。
…となると、現時点で一番怪しいのは火花……点火系だ。

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まずは手近な部分であるポイントの清掃をしてみる。カバーを外して接触面にパーツクリーナーを吹いてウェスで汚れを落とし、コンデンサの取り付け部も点検して始動をしてみると…やはりエンジンは全く動かない。ポイントは無関係か。
次はスパークプラグの交換。外したプラグの電極周辺はやや黒くなってはいるものの、特に問題はなさそうだ。えーっと、最後にプラグ交換したのはいつだっけ………記憶の糸をたぐると確か2008年の5月頃だったような…ゲッ、10年ぶりか。
工具箱から新品のNGK BP7HSプラグを取り出して左右のシリンダーへ装着。そしてプラグコードを繋いでセルを回すと……やっぱりダメ。これでプラグが原因ではない、ということも判明した。
うーん、富良野への出発時間が刻一刻と迫っている中、焦りばかりが募って肝心の解決方法が思いつかない。見えない部分、手の届かない箇所の微細な配線でも断線しているのだろうか?
脳裏には「トラブル(走行不能)により今日のイベント参加は辞退」という文字が何度もチラつく。

そんな時に、ふとバイク雑誌で以前読んだ古いハーレー(フラットヘッドやナックルヘッドなど)に長年乗っているオーナー達のトラブル対処法を思い出した。
「半世紀以上昔に作られたハーレーは意外とコイルが壊れやすいので、サイドバッグには常に予備のコイルを入れてツーリングをしているんですよ」

!!!
もしかしてこれは点火コイル(イグニッションコイル)が犯人か? それなら3年ほど前に他の予備部品と一緒に購入しておいたのがあったはず。
さっそく新しい点火コイルを装着してセルを回すと……今までの不動状態がまるで嘘のように、あっさりとエンジンが動き出した。

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エンジン不動の原因はコイツでした。
5月中旬には普通に動いていたのだが、まさか今になって点火コイルが前触れもなく突然死をするとは…完全に盲点であった。ちなみに上画像の点火コイルは、13年前に自分が長江を入手してからずっとエンジンに装着されていたもので、もしかするとちょうど部品としての寿命を迎えたのかもしれない。
だけどまぁ、今回は無事に解決をして良かったです。なぜなら電装・点火系のトラブルは、目視で異常部を追跡できる駆動系や燃料系とは違い、自分みたいな電気素人には原因究明が難しいことも多いからです。それとツーリング先でのトラブル発生でなかったのは冗談抜きで本当に僥倖であった。
あと、3年前に新品の点火コイルを予備として購入していた自分エラい(自画自賛)。

まったく、初っ端から色々と楽しませてくれるよ我が愛車は。
では富良野に向けて親戚宅から出発
6:08 AM

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札幌から江別を抜けて、日曜早朝でガラガラな国道12号線を長江はマイペースに走る。しばらくすると岩見沢の市街地に入ったので、24時間営業のセルフスタンドで7リットルほど給油。7:05 AM

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給油後は自衛隊岩見沢駐屯地の横を通過して三笠市へ。そして以前から少し気になっていた「モノ」を観察してみる。

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その「モノ」とは、三笠市幌内のセイコーマート前交差点に置かれたディーゼルロコ。何度かここの道路を通るたびに必ず視界へ入るので、いつも気になってしょうがなかったのだ。
自分は鉄道に関しては全くの門外漢だが、今日はじっくりと(と言うほどでもないけど)観察をしてみた。

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説明板などは置かれていないので経歴は一切不明。ただし、閉山前の三井芦別炭鉱では坑外で資材の運搬作業にディーゼルロコを使用していたのは間違いないので、閉山後に譲り受けた車両なのかもしれない。
現在はここから3kmほど奥にある三笠鉄道記念館とトロッコ鉄道の広告塔としての務めを果たしている。


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全体的にサビが目立つものの、状態はそれほど悪くはない。
5分ほど見ていたのだが、あまり長居をすると近隣住民から不審者として通報されそうなのでそろそろ富良野へ向かうこととする。7:34 AM


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なお、後ろの倉庫にはナンバー付のトゥクトゥク(東南アジアでよく使われるオート三輪型タクシー)が保管されていた。夏の観光シーズンにはお客さんを載せて走っているのだろうか?


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幌内からしばらく走ると、幾春別の旧奔別炭鉱跡地に到着。7:44 AM
雲が多くて暗いせいなのか、画像がどうにもパッとしない……。
立坑の撮影後はバス停横の公衆トイレ兼バス待合所で20分ほどエンジンを休ませた。
眼の前の道道116号線をイベント参加者であろう旧車が頻繁に走り抜けていく。
8:10 AM 出発

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個人的には走るのが嫌で仕方がない桂沢湖畔から先の道道452号線。ガタガタに荒れた路面と連続急カーブの坂道を何とか突破して、芦別の三段滝に到着。
8:42 AM

ここまで来れば、目的地である富良野へはもう一息という距離。10分ほど休憩をしてから富良野を目指した。
ちなみにこの場所へ来たのは昨年の8月末以来となるが、残念ながらカミキリムシはいなかった。

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無事、富良野市街へと入る。イベント会場はもう目と鼻の先なので、のんびりと給油を済ませた。給油量は5.5リットル。
早朝に給油をした岩見沢市内のガソリンスタンドからの燃費と距離を単純計算すると約13km/リットル前後となる。この数値だと長江は3000ccクラスの3ナンバーセダンや大型SUVと同じくらいの燃費だな。まぁ、横に100kg近い鉄の塊を固定しているから、バイクにしては燃費が良くないのは仕方がないけどね。

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…で、ようやくクラシックカーミーティングの会場に到着。 9:45 AM
会場入口にある受付で参加費の支払いを済ませ、スタッフから指示をされたバイク展示エリアへ長江を動かして陳列となった。
だけど再びこの地へ訪れるのに5年もかかってしまった。いやぁ、何にも増して感慨深いねぇ……。


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この日の富良野は暑くもなく寒くもないうす曇りの過ごしやすい天気。
しかし2時間後には急変することに……。

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11時くらいまではイベントへ飛び入り参加を希望する車も多かった。
なお、この日の参加車数は190~200台近くにまでなったという。

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イベントではいつも農発の動態展示をしている北海道発動機保存会ですが、今日は昔ながらの業務用かき氷機を持ち込んで来場者にかき氷を振る舞っていた。
ただし氷を削る動力は農発である。

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農発ののんびりとした駆動音と共に、シャカシャカシャカシャカ……と涼しげな音を響かせていた。
プーリーに取り回してあるベルトに注目。


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両隣に並んだフェラーリやポルシェよりも二回りほど小さな車体。視線を低くするとうねるような独特の曲線をもつボンネット形状がわかる。誰もが知っている有名車だからか、常に人が集まっていた。

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なかふらの単車館館長の秘蔵コレクションの他、有志達が所有する自慢のバイクも20台以上が展示された。

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長江の隣に展示されていたマツダ ポーターキャブ
オーナーのオジサンは、綿あめを作って来場した子どもたちに配っていた。

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11時半くらいから空模様がちょっと怪しくなり、服が濡れない程度の小雨が降ったり止んだりを繰り返していた…が、正午を回った12時20分過ぎに突如として猛烈な土砂降りとなった。
自分はあいにく傘を持っていなかったため、すぐそばの木陰へ避難して雨宿りをする羽目に。

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だが幸運なことに、突然の土砂降りをもたらした雨雲は15分前後で去っていった。自分の帽子や上着はびしょ濡れですが……。

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太陽もすぐに顔を出し、各オーナー達はタオル片手に愛車の拭き取り作業に追われていた。
水気を放っておいたらサビるもんな。

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ホンダ シティターボII ブルドッグ
外へ大きく張り出したフェンダーと、左にオフセット配置をされたホンダのマークが格好いい。

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トヨタ2000GTもそうだが、今年は本州から来たであろうイベント参加者が結構目についた。この車は茨城ナンバーを付けた1958年式ダットサン 210。しかも足回りはホワイトリボンタイヤである。

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雨にしっとりと濡れた2000GTの後ろ姿。


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画像では確認できないが、高い気温と強い直射日光で濡れた地面が暖められて、足元には湯気がかすかに漂っていた。

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日本唯一の4文字ナンバーである「尾張小牧」を装着した1982年式三菱 ミニカ。数字が消えかかっているあたりに他を寄せ付けない風格を感じさせる。これは当時物のナンバーだろうか?

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スズキ フロンテ
今では滅多に見ることがない360軽用の小板ナンバー(しかも8のシングル)を付けている。

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トヨタ S800の列
オーナー達は忙しそうに車に付着した水滴を拭っていた。

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マツダ コスモはこの一台だけの参加でした。

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シボレー インパラ
長くて平べったい典型的な1960年代のアメ車。塗装は涼し気で透明感のあるミントグリーンなのだが、デジカメの画像ではうまく再現できていないのが残念。

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3台のウニモグ。それぞれの年式や形状は微妙に違う。
このようなレア車が複数台も揃うのは富良野のイベントくらいなものだろう。

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今となっては現存数が少ない日産 マーチスーパーターボ
マーチ由来のコンパクトな車体にスーパーチャージャーとターボを無理矢理詰め込んだ化物。自動車市場が縮小している現代の日本では想像もつかないが、1980~90年台には各メーカーがいろいろと変わった車を出していた。

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イベント常連のシュタイヤープフ ハフリンガー
今日はトラックに積載されて富良野へ来たという。

こういうコンパクトなMR車は一度乗ってみたいものです。

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14時頃に撮影した会場遠景。
昼下がりを過ぎた頃になると、既に20~30台の参加車が早めに帰っていた。

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今回のイベントでは最年少参加者と思われる、男子小学生がオーナーの1970~80年製ブリヂストンジュニアスポーツサイクル。当時の値札と説明書も付いていて、ほぼ新品同様のコンディションでした

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楽しい時間はあっという間に経過して午後3時。
イベントもそろそろお開きとなるのですが、表彰式でなんと我が愛車が二輪部門で優秀賞を受賞、という珍事が発生。ホンダやカワサキなどの有名美車を押しのけて長江が受賞をしてしまうとは……コレッていいんですかね?

15:35 PM
クラシックカーミーティングinふらのは無事に終了し、会場から退出。この去り際の寂しさは閉会後のコミケの雰囲気に通じるものがあると思う。
さて、帰り道は赤平を経由してやや遠回りになるものの国道12号線へ出ようかと思っていたのですが、さっさと家へ帰りたいたいこともあり、結局は道道452号線を戻っていくことに。あぁ、このガタガタ道は嫌だ嫌だ。

歯を食いしばりながら芦別~三笠間を抜け、岩見沢を通過。そしてこの時に江別へ至る12号線上で「コイルとプラグを新品に交換したんだし、どれくらい最高速が伸びるかな?」という出来心がふと湧いたので、(数kmの距離で道路も空いていたこともある)ちょいと試しにスロットルを多く回してみたところ、なんと80キロ台後半までスルスルッと速度が出てしまった。もうちょい頑張れば90キロくらいも出そうな感触ではあったが、長江のドラムブレーキの効きはプアなので、これ以上は間違いなく自殺行為だろう(というかそもそもスピード違反だ)。
良い子も悪い子も真似しないように。白バイや覆面パトカーに捕まるぞ。

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札幌の自宅に到着 18:10 PM
今回は5年ぶりの参加(しかも優秀賞として盾とワインも頂いた)となりましたが、心に染みるイベントとなりました。この度は運営スタッフや関係者の皆様、長江に清き一票を投票してくださった来場者の方々、本当にどうもありがとうございました。
それと来年こそは開会から閉会まで晴れが続くといいなぁ。

本日の走行距離:215km